ペットボトルといえばスクリューキャップだ。それは瓶の王冠に慣れた旧世代消費者にとって全く新しい開閉機構だった。密閉力の高い開け閉めが何度でもできるフタを身につけたことにより、ドリンクは優秀な水筒を手にした。漏れないから飲み残しの携帯も容易。「携帯水分」の誕生だった。

 そんな「携帯水分」界にこのところ新種が発生している。アクエリアス710mlや伊藤園カテキンスポーツ500mlなどが装着しているプッシュ&プル式キャップだ。飲み口を指で押し上げると穴が開通、押し下げると閉口。ひとことでいえばそれは「ママレモン」のキャップだ。

 飲み物に洗剤テイストを注入した勇気には脱帽だが、スポーツ時に手早く飲めるように、という試みは空回りに終わっているように見える。穴が細く、なかなか大量には流れないのだ。喉が乾いて一刻も早く飲みたいときにこれは痛い。隔靴掻痒感を味わうスポーツマンは多いのではないか。勿論、キャップ全体を外して飲めばいいという話でもあるが、それならわざわざこんなのつけなくていいという話でもある。

 サッポロが96年春に他社に先駆けて同種の「スポーツキャップ」を導入し売り出したアパニスポーツウォーターは、最近コンビニであまり見かけなくなった。幾分暗示的だ。(この項おわり)




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