総務部に1通の投稿が届いた。
「そろそろ不人気ゆえの打ち切りが決まった頃でしょうか。でもご安心下さい。総務部の窮地を救う一大スクープ写真を撮りました。この写真を他に先駆けて掲載すれば脚光を浴びること請け合い。打ち切り中止は勿論、社長賞や国民栄誉賞も一気に視野に入ってきます。ライバル誌に感づかれる前にぜひ一報を」
スクープの提供。願ってもない申し出に色めき立った我々は、指摘通り部解散の窮地に陥っていたこともあり、早速投稿者の家を訪れた。現れたのは、見るからにうさん臭いがそれだけに期待を持たせる中年男だった。
−−早速ですがスクープとは?
「フフ。パソコンの中に小人がいるという説をご存じですか?」
−−……科学技術についていけない人が考えがちな妄想ですね。
「(不敵な笑みで)常識に縛られた現代人なら一笑に付すのもやむをえん……私とてこの目で見るまでは君と同じでしたよ。だが、この写真を目にしてなおそんな口がきけるかどうか……(厳かに写真を出して)あれは先週、どんより曇った日本晴れの午後でした。パソコンに向かうと『助けて』と声がしたのです。前日に重傷を負わせたシャケの切り身が命乞いをしているのかと思いましたがシャケにしては声が低い。はっと我に返った私は、すぐに電話線を引き抜き、中を覗いてみました。果たしてそこには銀色の小人間がいました。線につかえて動けなくなっているのを助けてやると彼は喜び、線内の生活について語り始めました。彼はeメールを運ぶ電子人間でした。この前はペルーのサーバーまで行った、画像は重くて大変、題名に半角カナがあると辛いなどとグチをこぼした後、彼は「本当はいけないんだが」と言って仲間を呼び寄せ、撮影を促しました。「一儲けしな。電子人間の恩返しさ」と笑った彼の八重歯が印象的でした。勿論肖像権もクリア済。これで総務部を救って下さい」
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左上に掲載したのがその写真だ。これが投稿者の言う通り総務部の窮地を救う救世主となるのか、それとも打ち切りの引導となるのか。世間の反応を待つまでもなく、答は後者。それはつまり今回が最終回ということです。(総務部)