まったく新しい発想のソフト類を開発した

気鋭の青年ベンチャー社長が総務部に乱入!

 総務部に一通の投稿が届いた。

「わんばんこ。ハラッドコンピュータエンタテイメントの気鋭の青年社長・原田です。今回手紙を送ったのは、我が社の画期的な新製品を見てほしいと思ったからです。従来のソフトの常識を覆すものと自負しております。連絡乞う」

 今どき鶴光のオールナイトニッポンの挨拶語を使うセンス、自分の名前をヘンにアレンジした社名、自らを気鋭の青年社長と呼ぶ臆面のなさ。食指が動いた我々は、例によって他に投稿がないこともあり早速電話をかけた。とそのとき。

「わんばんこ。原田です。総務部が廃止される前にと思うと連絡を待っていられず、来ちゃいました」

 これで取材に行く交通費が浮いた、と早速応接室で話を聞いた。

総務部●画期的な新製品というのはどんなものなんですか。

原田●(こきたない紙袋から大事そうに取り出しながら)これです。

総務部●ん? 帽子とボールとアイスにそれぞれ「ワープロ」「レイアウト」「ゲーム」と打っただけの紙がこれ以上ないほどのおざなりさで貼られていますね。

原田●はい。(乳頭がわかるほど胸を張って)開発に2年を費やしたうちの新製品です。どうです?

総務部●どうですって言われても……あれ、もしやソフト帽とソフトボールとソフトクリーム……。

原田●(サブちゃんほど鼻穴を広げて)全く新しい思想で設計されたソフトなんです。ワープロソフトは綿とレーヨンを表素材に、裏地にはポリエステルを採用。レイアウトソフトには3号公認球を使用でイレギュラーのないバウンドを約束。今なら新発売キャンペーンで特製ソフト置きがついています。そしてゲームソフト。森永乳業製ですから広い層に支持していただけるはず。半透明ケース付属で携帯性に優れているのも強みですね。各々月間1億本の出荷を見込んでます。ゲームソフトは大々的に露出するんでもう少しいけるかな……おっと、これ以上は販売戦略をバラすことになるので言えませんがね」

 原田さんは3時間以上熱弁をふるった後、憑き物の落ちた顔で帰っていった。今回読者のためにと特別に自慢のワープロソフトとレイアウトソフトを置いていってくれたので、万が一欲しい人は一報を。先着1名に贈呈します。ちなみに、ゲームソフトは溶けました。(総務部)

↑時折オーバーなジェスチュアをまじえて製品の魅力を熱く語る社長。
→こんなものを作るのに2年もかかるとは、驚かざるをえない。

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