総務部に1通の投稿が届いた。
「へろー! 総務部がセクシーコマンドー部の別名ってことは内緒にしとくから安心しな。ところでうちの隣にいる若年女性が一風変わったポストペットを持ってるぜ。たぶんまだ一般には出回ってない最新バージョンだ。彼女は毎週月曜の昼に表参道を散歩しているから行ってみな」
あのポスペの新作が存在した……特ダネだ! そろそろヒットをとばさないとヤバいと思いつつ寝てばかりいた我々総務部は、他に投稿がないこともあり即刻表参道へ出向いた。
しかし考えてみればその女性に遭遇する手だては何もない。彼女がポストペットを見えるように持って歩いていれば話は別だが…。そのとき、ガガガガガと何かをひきずる音が。
「ほらっ、ジョン、こちらですわよ」
声の主はすらっとした貴婦人だ。気品のある歩き方には育ちのよさがにじみ出ている。ただ、彼女がジョンと呼んだのは、どう見ても家庭用の赤い郵便ポストだった。ピンときた(股間ではない)我々は、既にあきらめを感じつつも声をかけた。
総務部●あのう、これはもしや…。
女性●(気位の高い微笑をうかべながら)ポストペットざます。名前はジョン。国産の小型種ですわね。
総務部●…ポストをペットがわりにしたからポストペット…なんですね。
女性●ペットがわりではなくペットですわ。もうアタクシの生活はポスペなしには考えられませんのオホホ。
総務部●そうしますと、他にも?
女性●もちのろんですわ。宅では国産・舶来の鑑賞種、サッカーに役立つ運動種、くっつくのが好きな実用種、文字印刷に適した室内種と、たくさん飼ってるんざます。実はもう一匹連れてきたのに、はぐれちゃって…あ、あそこにいたざます」
総務部●え、郵政省の集配ポスト……いえ、かわいいですね。名前は?
女性●ボブよ。大型種は世話がとにかく大変。でも動物愛護は高い犠…。
ひとしきりポストペットのかわいさを熱弁した後、彼女は去った。飼主がいくらひっぱっても頑として動こうとしなかったボブは、今も表参道に置き去りのままだ。(総務部)