総務部に1通の投稿が届いた。
「パオーンこんにちは。私はパソコン関連の会社を営む男です。この度全く新しい概念で設計したキーボードを開発しました。ぜひ誌面でアピールしたいです。来るべき真の平等社会のためにパオーン」
「全く新しい○○」という表現には注意と頭ではわかっていた総務部だがつい体が反応、他に投稿がないこともあり早速投稿者を呼んだ。ガシンガシンガシン。投稿者はなぜか爆音を響かせて現れた。
総務部●新しいキーボードを開発したということでしたが。
投稿者●少し話したいのですが。
総務部●ええ、どうぞ。
投稿者●パソコンは素晴らしい道具です。しかしこの便利な発明品は、ごく一部の生物にしか開放されていません。この広い地球上でパソコン文化を享受しているのはたった一種の生物だけなのです。驚くべきことに、キーボードやマウス、モニタ、
プリンタ、ソフト、電磁波防止エプロンにいたるまで、全てのパソコン製品は人間のためだけに生産されています。人間以外の動物は無視されているのです。こんなことが許されていいのでしょうか。勿論発明したのは人間です。しかし、人間は他の動物を犠牲にすることでしか生きられない存在です。パソコンも他の動物を踏み台にして発明されたものとは言えないでしょうか。言えます。ならばその文明の利器を、人間以外の動物にも利用可能な形で提供するのが筋ではないでしょうか。そこで私は決心しました。動物用パソコンを作ろうと。その取り組みの第一弾として開発したのが、各動物にジャストフィットするサイズのキーボードです。今までの人間向けキーボードを動物が操作するには並々ならぬ努力が必要でしたが、これなら安心。勿論、誰もがすぐブラインドタッチできるようになるとは限りませんが(笑)。意外かもしれませんがビジネスとしてみてもこのアプローチは有効です。地球には人間よりはるかに多くの生物がいるわけで、潜在的な需要はかなりのものと考えられるわけで…。
長広舌に不覚にも居眠りをしていた総務部が目を覚ましたとき、投稿者の姿は既になかった。投稿者がいた辺りには巨大な足跡のようなものが残されていた。あれは動物を代表してやってきた象の化身だったのか。それとも夢か。今となってはわからない。(総務部)