●「ニックネーム」とは「異名」の異名ですよ
 記録に残る選手と言えば王、記憶に残る選手と言えば長嶋だが、記録に残る名といえば本名、記憶に残る名と言えば異名である。異名をつけるってことは言葉を持つ人間の本能であり、異名をつけられるってことはそいつが名選手であることの証明だ。そういうことに決まった。この欄ではそんな異名を少しずつ確認することで選手たちの一瞬の輝きを記憶に留めていこうと思う。以上前説おわり。

 で、今回は10月10日に行われるJOMO CUPを記念して、Jリーガー関係の異名。まずは亜流部門。例えば中田を「日本のカントナ」「東洋のバッジオ」と呼んで持ち上げるように、偉大な選手や有名人をダシに使ってアピールする戦略的な異名だ。「東海のマラドーナ」といえばエスパルス・伊東輝。顔の面からは「浦和の織田裕二」ことレッズ・福田、ストレートに「ニセ亜久里(鈴木)」はマリノス・井原。同じくマリノスでは「ハマのジャイアント馬場」ことサリナスも印象的。この辺まではまだわかるが、驚くのは「磐田の反町」。誰かと思えばなんとジュビロ・奥。さすがにファンがつけただけあり、オフサイド必至のレトリック。確かに目の数とか身体に占める水分の量とかは似ているが。磐田には他に「ジュビロの草なぎ」こと服部もおり、実はちょっとバカにしてるのかとも思える(服部は別名「バカボン」とも)。それに比べればまだレッズ・佐藤の「日本のクリンスマン」、セレッソ・明神の「和製デサイー」、セレッソ・西谷の「セレッソのマラドーナ」なんかの方が、今後そう成長してほしいというファンの親心が見える分だけマシか。とはいえ、かなり言いすぎには違いない。3人ともよくは知らんけど。

 続いてはシンプルな動物部門。井原が「ロバ」、相馬が「」、山口素が「フリエの親亀」、秋田が「ヘッドの虫」。「浪速の黒豹」ことエムボマはイタリアに行ってしまったが、そのかわり「殺虫剤をかけられたゴキブリ」ことストイチコフが来た(レイソル)。ちなみにこれはあのナンバー誌が彼の爆発的なダッシュ力を評して記していたもの。W杯得点王を害虫扱いとはひどすぎるが、言い得て妙。動物がらみでは「犬より速いスピードキング」こと岡野も。ラブラドール・レトリバーがフランスプロリーグ、パリ・サンジェルマンの選手として活躍する映画「ディディエ」の続編を作るときはぜひ岡野と対決してほしい。

高井ジロル●その髪型から「帰ってきたしっとるけ」の異名をとる練馬区民。スティックのりとビスコが好き。
(FROM A thursday 10/8)



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