[PR]運命の愛探そ
デアイの入口[18禁]


J'_s v_i_d_e_o

フランス版「だめんず・うぉ〜か〜」
とも言えるちょっとした艶笑譚

バルニーのちょっとした心配事
BARNIE ET SES PETITES CONTRARIETES

●発売/タキコーポレーション●85分●発売中●税抜16000円●出演/ファブリス・ルキーニ、ナタリー・バイ他

 バルニーは毎日英国まで長距離電車通勤しているフレンチ会社員。しいて挙げれば福井謙二アナの雰囲気が漂う冴えない中年男だが、齢の割にかわいい妻に加え、奔放なヤング美女、知的な美男と愛人を二人もお抱え中。そつなく楽しい毎日を送っていたが、3人から同じ日付のオリエント急行切符を贈られたのを機に関係が発覚して…。人類史に連綿と息づくよくある艶笑譚だが、日本人から見れば家庭崩壊に直結する一大事さえ「ちょっとした心配事」と捉えるあたりはさすが恋愛王国フランスだ。愛人に迫られて「妻がいるいまの僕が好きなんだろ」と開き直るセンスと、会社の昼休みに二人の男女と連続情事をこなす体力以外に、主人公の魅力が発見できないのは大難点。母性本能刺激系?だめんず? 勝手にやってろ!(高)

▲通勤電車とオリエント急行は日常と非日常の暗喩?

私的オススメ度
☆☆
妻(ナタリー・バイ)はソフィ・マルソーの老後を思わせます。


心を閉じたかっこつけ不眠症男は
永遠の眠りにつくしかないかも…

REM レム CHASING SLEEP

●発売元/クロックワークス●105分●税抜16000円●発売中●監督/マイケル・ウォーカー●出演/ジェフ・ダニエルズ、エミリー・バーグル、ギル・ベロウズ他

 睡眠薬の大量摂取で現実と幻覚の境をさまよう不眠症男の末路を描く神経浸食系サスペンス。主人公同様、見る側をもさまよわせるどっちつかずなボーダー感が肝。不眠症とはまるで無縁な筆者でも、自分がもし眠れなかったら…と想像する気になる程度の興味深さは持てる一本だ。

 夜中にふと目を覚まし、妻がいないことに気づいた大学教授・エド。不安で眠れず睡眠薬を飲んだのを機に、誰もいない部屋からピアノ音が聞こえたり、芋虫のように歩く指が見えたり、老人顔の巨大な胎児がバスタブにつかっていたりと、妙な出来事が続出。刑事、精神科医、妻の不倫相手、教え子といった人々が入れ替わり来宅し、エドが不倫妻を殺して狂っちゃったことを匂わせながらも詳細はよくわからぬまま、エドって江戸? なんて軽口は言えない雰囲気でジ・エンド。

 薬社会への警鐘という意味もあろうが、むしろ問題は主人公自身。誰に対しても心を開かず、人に弱みを見せたがらないカッコつけ男であることが全ての原因に見える。「昔は野心も才能もあったのに」と妻に日記で一刀両断されているのは同情するが…。一番の問題は教え子がフェラチオしてくれた好機に身を委ねなかったこと。あれこれ考えず思い切り射精していたらぐっすり眠れたろうに。据え膳食わぬ男は永遠の眠りについちまえ!(高)

私的オススメ度
☆☆☆
精神科医がさしずめ橋爪功。またはミニ・ニコラス・ケイジ。

▲主役が全く外に出ないインドア作


死期迫るゲルマンばばぁ3人組の、
スローモーで鬼気迫る銀行強盗譚

ヤンババ!
JETZT ODER NIE - ZEIT IST GELD

●発売/キング●96分●4月2日発売●税抜16000円●監督/ラース・バケル●出演/ガードラン・オクラス他

 邦題や「ばばぁ三人組の超過激な初体験」などのアオリ文を見ると単なる企画ものっぽいが、いやいやどうして。死期迫るゲルマン3老女の銀行強盗体験を通して人生の機微にぼんやり迫る骨筋張ったシルバーエンタテイメントだ。原題は英語で「NOW OR NEVER - TIME IS MONEY」、田中邦衛語では「やぁるなら今しかねぇ〜♪」。登場人物のほとんどが老人なためにもともと全体にスローモーなのに加えて要所でスローモーションを多用した映像が奏功。特に、老女3人の水泳姿を水中から捉えたごくクリアなスロー映像は出色。骨筋張った3肢体が絡み合いながらゆっくり蠢く様子は、なんだかとても宇宙的。時空を超えた宇宙生命(コスモゾーン)をも連想させる。ドイツ女は老いると宇宙人になる。そんな結論にも到達。(高)2003.03

▲旅行用の大金をネコババされたヤンババの復讐物語。

私的オススメ度
☆☆☆☆
ゲルマン老女の顔はそれだけで一つのポエムのよう。シブイ。


10人殺して1人生む、
差し引き−9の殺人妊婦はお好き?

シリーズ7/ザ・バトルロワイアル SERIES 7

●発売元/SPO●86分●税抜16000円●4月4日発売●出演/ブルック・スミス、メリールイーズ・パーク他

 抽選された市民6人が最後の一人になるまで殺し合う様子を実況する人気番組の第7週。勝ち残りの王者は妊娠8ヶ月。失業者、偏屈老人、中年看護婦、過保護女学生、末期睾丸癌患者という挑戦者との対決に臨み、乗り込んだ敵宅で破水。大股開きで息みながら敵を罵倒・威圧し手伝わせるスーパー妊婦力で見事出産。そんな傍若無人な展開が続き、何の葛藤もない全登場人物に感情移入できぬまま荒んだ気持ちでジ・エンド。視聴率至上主義批判をしたいんだろうが、半端にフェイク・ドキュメンタリーな構成が映像への興味を効果的にそぎ落とし、己がこの立場なら…とか考えさせられる機会は皆無。人物紹介が多すぎて殺人場面が物足りないぜ。なんて思うこと自体、視聴率至上主義に侵された愚か者ってことですか。(高)2003.03

私的オススメ度

これだけ荒んだ印象を与える妊婦も珍しい。でも珍しいだけ。

▲殺人ゲームの空しさなんて言われなくてもわかるよ。



盲人や妊婦も容赦せぬ気狂い昇降機の
悪趣味さに口をポカンと開けつつ閉口

ダウン
DOWN

●発売/アートポート●111分●発売中●税抜16000円、DVD3800円●監督/ディック・マース●出演/ナオミ・ワッツ、ジェームズ・マーシャル、マイケル・アイアンサイド

 歌にたとえれば「ミミズだってオケラだってエレベーターだって、みんなみんな生きているんだオカルトなんだ〜」、歌にたとえなければ、NYの超高層ビルのエレベーターが暴走して次々に人間を殺しまくるお話。首ちょんぱに胴ちょんぱは勿論、幼児や盲人まで容赦なく高層階から突き落とすわ、妊婦の群れを閉じこめてドバッと破水させるわで、必要以上に悪趣味場面が頻出。破水直後にはついにエレベーターが落っこち、焼け焦げた胎児から煙が上がり、人として腰が引けたが、よく見れば肉を焼く鉄板のアップ。ほくそ笑む監督が目に浮かぶ。「生きているエレベーター」を比喩的にでなく具体的に表現したひどい造形も好感。「赤くて肉っぽけりゃ生き物に見えるべ?」という態度が肉食系のたのもしさを醸し出した。ナオミが今一つ前に出てこないのは「ホワッツ?」なものの、悪趣味転じて福となした監督の剛腕にノックダウン!(高)2003.02

▲主演は人間でなくエレベーター。

ナオミ・ワッツ NAOMI WATTS
ナオミ?ホワッツ?
理屈っぽい高級ソープ嬢風の佇まいに一日の長あり。キャンベルを抜きナオミ界首位に君臨中。

私的オススメ度
☆☆☆☆
「ワオ、ビッグバット!」と思わせぶりに囁くナオミにキュン。



秘密主義の父がいる老けた高校生は
こっくりさんをやっちゃいけません

ザ・シャドー 〜呪いのパーティ〜 
LONG TIME DEAD

●発売元/ユニバーサルPJ●94分●税抜10000円●3月7日発売●出演/ルーカス・ハース、ジェームズ・ヒラー

 ガラスの十代には見えない英国の高校生連中が、ウィージャという西洋版こっくりさんに手を出し、呼び覚まされた悪霊に殺されてゆくオカルトホラー。やり方はこっくりさんとほぼ同じだが、指を置くのは十円玉でなくガラスのコップ。動く度に生理的嫌悪感を伴うキーキー音が発生し、不気味テイストはこっちが上だ。謎の老人キャラの存在、悪霊伝説が下敷きの設定、一人一人やられてゆく展開や殺し方にも目新しさはないが、それだけに安心して脅えることが可能。実はグループの一人、西洋版尾藤イサオともいうべき主人公に忌まわしい過去があり、それを父親が秘密にしてきたのが悲劇の要因。そんなに大事なことならちゃんと本人に伝えとけよ〜、と巻き添えで犬死にした仲間たちは言いたいだろう。筆者も。(高)2003.02

私的オススメ度
☆☆☆
壮絶なラストも安心して脅えられること必至。猫の目に注意。

▲火に関係する悪霊なので燃やそうとしてもムダです。


「東京フレンドパーク」的のどかさに
隠された女尊男卑思想を見逃すな!

ホワイト・インフェルノ 
TRAPPED:BURIED ALIVE

●発売元/プライムウェーブ●96分●税抜12000円、DVD4800円●2月21日発売●出演/ガブリエル・カーテリス他

 唇が薄く、一応美人の割に昔ももてなかっただろうと確信させる中年女性がヒロイン。スキー場を襲った雪崩でホテルに閉じこめられた人々が、いがみあいながらも最後は協力して救出されるまでを描いたパニック映画だ。極限状態にある割に皆さん呑気で、「東京フレンドパーク�」のアトラクションに夢中な高橋英樹親子を思い出させてくれる。それはいいとしても、いかがなものかと思うのは、全編に漂う明らかな女尊男卑思想。安全より利益を選ぶオーナー&建築担当者、雪崩の危険を強く提言できない山岳レンジャー、傲慢なだけの元スキー選手、でかい図体のくせに何もしないその息子と、男は皆無能な愚者としてしか存在しないのだ。FOR白い地獄でギスギス系中年女性に理詰めで責められるのが好きな貴男ONLY。(高)2003.01

私的オススメ度

継母と娘の険悪関係が修復されたのは人として嬉しいっス。

▲出演者の中に、DonDokoDonの山口じゃない方が!?


疾走感を排除した監督のドライブテクに、
車酔いはしないが酔いしれもしない!

ドライブ
DRIVE

●発売/LDC●102分●2月21日発売●税抜16000円、DVD4700円●監督/SABU●出演/堤真一、柴咲コウ、大杉漣、安藤政信他

 所謂「疾走3部作」で知られ、日本ばかりか世界からも熱い注目を集めるSABU監督の新作。堤真一に大杉漣に寺島進に筧利夫に安藤政信に松尾スズキに柴咲コウに松雪泰子にピエール瀧に田口トモロヲに、おまけに木村郁美アナまで揃えちゃった豪華キャスト。大金を盗んだ銀行強盗3人が、金を持ち逃げした仲間を追うために通りがかりの車に乗り込んだら、運転手が制限速度40kmを絶対に守る生真面目男で、たちまち仲間を見失い、奇妙な縁で結ばれた男たちの珍道中が始まる、という展開。現代邦画ファンなら誰しも食指を動かされる条件が揃ったが、終わってみれば、各論OK総論NG、駄作以上傑作未満の感が大だ。乱入したパンクバンドのライブで因果応報を説いて喝采を浴びる僧(寺島)とか、各々のキャラもエピソードも個別に見れば魅力あるんだろうけど、縁を強調した割には個々が与えられた出番をバラバラにこなして終わった感じ。しかも、クレジット順が2番目の割に、柴咲コウは出番がほんのちょっとだし。しかもベッタリヘアであんまり美しく映ってないし。時速40kmの車に合わせてか、意図的に持ち前の疾走感を排除しすぎた監督、ファンをいい意味で裏切ろうとして、結果的に悪い意味で裏切ってしまったのでは?(高)2003.01

▲良心的邦画ファンなら見逃せない面々ばかり。そのせいもあってか、興行収入は一億円にのぼったというヒット作だ。

▲松尾スズキが「雨が降れば桶屋が儲かる」スタイルで刺されるレストランの場面が、実は最も「縁」を感じさせるかも。

Pick Up Actor
堤真一 SHINICHI TSUTSUMI

『39』仲間の鈴木京香とはだいぶ前にお別れ済み
元・真田広之の付き人@JAC。SABU監督作では5作連続の主演(でも同監督の次回作『幸福の鍵』は寺島進が主演)。本作でも鼻の下の凄味を活かした熱演を披露。個人的には、一番かっこいい部類のベトナム顔だと思います。 

私的オススメ度
☆☆☆
人気ある監督がファンを裏切ろうとする志がリスペクタブル。


隆一が和服コスプレをしながら
5人の女優と太宰式おままごと

ピカレスク 人間失格 
PICARESQUE

●発売元/グランプリ●133分●税抜16000円●発売中●監督/伊藤秀裕●出演/河村隆一、さとう珠緒 他

 今ではMr.ナルシストの座をGacktに奪われた感の強い河村隆一が、その座を取り戻そうと挑んだはずの映画初主演作。選んだ役は昭和文学界を代表するナルシスト、太宰治。「僕に太宰が宿ればいい、彼の魂が力を貸してくれたらいい」とかましたまではよいが、延々2時間13分、素人くさい太宰ごっこを見せられる身は辛かった。富士には月見草がよく似合うように、太宰には津軽の湿気を吸い込んだ重たい布団の中でのさもしい「あんま」(という名のオナニー)がよく似合うはずだが、バラエティ番組でのいじられキャラが必要以上に染みついた隆一には、そのような陰鬱な重苦しさがなさすぎた。端的に言えば、隆一が和服コスプレをしながら5人の女優とままごとをしただけ。太宰の魂が力を貸さなかったことは確実だ。(高)2002.12

▲とよた真帆の容色の衰えは正視できないほど…。

私的オススメ度

ところが、さとう珠緒が抜群にかわいい。名女優誕生の予感!


己の性器のことばっかり考えてちゃイケないんだよ!

エクスタシーをさがして
COMING SOON

●発売/20世紀フォックス●95分●1月11日発売●税抜00000円●出演/ボニー・ルート、ギャビー・ホフマン他

 セックスでイッたことがない女子高生トリオが恍惚を求めて右往左往する青春下半身ムービー。てめーら、自分の性器のことばっか考えて男の性器に愛着を持たねーからダメなんだよ、と言いたくなる展開はこの手の物語の定番通り。結局「愛があればイケるのね」となるのも、タイプの違うそれほど魅力的でない女子を3人用意したのも、定番通りで安心感はお墨付き。定番通りでなかったのは、主人公の母親役、ミア・ファローの髪型。往年のバルデラマを彷彿とさせるライオンヘアで一際異彩を放っている。ホームパーティーでヤったり、学校の体育備品室でヤッたり、リムジンで街流しながらヤったり、アメリカン高校生の性ライフにムカつきながら憧れたい人にはイケる一本。(高)2002.12

私的オススメ度

女優陣が、若いのにたそがれ気味で華が足りないのが最大の難点。


鼻につくナレーションと中島みゆきの歌はない
物語版「プロジェクトX」

陽はまた昇る
hi wa mata noboru

●発売/東映ビデオ●108分●12月6日発売●税抜16000円●監督/佐々部清●出演/西田敏行、渡辺謙 ほか

 家庭用VTRの規格争いで圧倒的有利とされたベータを逆転したVHSの開発を描いた実話もの。赤字でVTR事業部存続の危機に追い込まれた日本ビクターの事業部長(西田)が、リストラ寸前の部下とともに会社に内緒でVTRプロジェクトを開始、苦労の末についに日の目を見るという、実に映画のような逆転劇。統一規格にするために技術を無償公開したこと以外にVHS陣営の長所がよくわからなかったものの、もともと十分ドラマチックな題材ということもあり、なんとなく「ベータの方がいい規格だったがVHS側が数の力でソニーをのけものにした」イメージを持っていた筆者も、途中でVHSを応援したくなっていた。「プロジェクトX」でも取り上げられて大好評だった話らしいが、あちらに比べてこちらが優れているのは、せっかくの名勝負をスポイルする下手なサッカー実況アナのような、あの妙にタメを入れるもったいぶったナレーションがない点。手柄を狙った過剰演出がないことの快適さを改めて感じることができる。DVDではなく、これはぜひともVHSビデオで観たい一本だ。(高)2002.11

▲ライバルのソニーも実名で描かれることを快諾したそう。よかったよかった。

私的オススメ度
☆☆☆
最後、事業部員が並んで事業部長を送る場面に涙。演出かな。


アナキンとアミダラのいちゃつき、
明らかに多すぎじゃないですか?

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 
STAR WARS EPISODE 2:ATTACK OF THE CLONES
●発売元/20世紀フォックス●143分●DVD税抜3980円→3383円●12月6日発売●監督/ジョージ・ルーカス●出演/ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン 他

 一作目を観て気に入ればその後の続編も観てしまうが、一作目を見逃すと途中からはなかなか手を出しにくくなるのが大作人気シリーズの宿命。そうなると新作が公開される度に世間の大騒ぎが収まるのを「ケッ」という捨て台詞とともに見守るしかなく、縁がないまま歳をとってやがて死んでいく…。スター・ウォーズは筆者にとってこのパターンを地でいく作品。35年生きてて一本もまともに観たことがなかった。遡ると、初期にレイア姫の顔を見て、「なんで俺がわざわざこんなブスがヒロインの映画を観なけりゃいかんのじゃい!」と強く思ったのがそもそもの縁遠さのきっかけ。フォースやらダークサイドやら、ファン連中がSW用語をしたり顔で振り回すのも鬱陶しい以外の何ものでもなかったし。
 で、そんな事情を背景に今回初めて観たのがこのエピソード2なのだが、いやぁ、おもろいじゃん、スター・ウォーズ! もっと一流臭さがプンプンしてるのかと思っていた。「俺は映画界の王様じゃ!」と映画自身が熱く主張してるのだと勝手に断定して敬遠していた面もあったが、的外れだったようだ。若き日のビアホフ(キエーボ所属)を思わせるアナキンは、師匠にたてつく生意気さと、己をかっこいいと思っている感じの表情作りが鼻持ちならなかったものの、それは後にダース・べイダーとなるゆえの演出だと聞かされれば黙るしかないし。レイア姫と違ってアミダラはかわいいし。乳房は不足気味なもののポチッとした乳頭がイケてるし。二人がお花畑などでいちゃつくシーンが必要以上に多いと思うが、記念すべきシリーズ初のロマンスだと聞くと、じゃ、まいっかと許せるし。一作目からちゃんと観てればもっともっといろいろ楽しめたろうに…と思うと、レイア姫役の女優が今さらながら恨めしい。(高)2002.11

▲あのジャー・ジャーが宇宙の運命を決める発言。
▲80歳とは思えぬドゥーク伯爵の激しい戦闘!
▲クローン軍団の大群はアリを思い出させます。
▲C3POとR2D2も、本筋には無関係だけど大活躍!
▲やっぱりこれ一本だけ観ても意味ないよね…。

私的オススメ度
☆☆☆☆
深く考えずに観られます。戦闘するヨーダがかっちょいい!

ヘイデン・クリステンセンHayden Christensen
27歳の兄と一緒に来日するなんてちょっとあやしげ?

1981年カナダ生まれ。イタリアとスウェーデンの血がまじった端正な顔立ちがウリ。スター・ウォーズマニアの兄を持つ。本作では「ときおり話し方をモノトーンにしてダース・ベイダーらしい感じを出してみた」らしいです。


ヘアスタイルと勃起無視脚本のせいで
セクシーテイストが少々薄れがち?


SPY_N CHINA STRIKE FORCE
●発売元/SPO●91分●税抜16000円、DVD3980円●11月8日発売●監督/スタンリー・トン●出演/藤原紀香、アーロン・クォック、マーク・ダカスコス、ワン・リーホン ほか

 藤原紀香がセクシーに見えるには条件がある。それは髪をアップにしないこと。乳房にかつての張りが見られない今では、頬からエラにかけてのワイドな顔幅を隠す髪型でないと、単なる下ぶくれで気のいいねぇちゃんだからだ。その点、地上172mの空中格闘さえノースタントで臨んだアクションが売りの本作は彼女にとって不利。どうしても髪が乱れてエラが露出し、セクシーテイストが薄れがちなのだ。取引相手を信用させるために水着を脱ぐ場面は、そんな傾向を補うには絶好の見せ場だが、ここでは脚本上の残念さが。裸を見た男二人の勃起に言及せず、紀香は立ち去ってしまうのだ。2本を比べたり冷徹に見下げたりする台詞があったら、と思わずにはいられない。拙い英語で言うのがまた効果的なのだが…。なお、予告編で「No one touches me!」と睨みをきかせた割に共演のクォックには内股を触らせている。そこは好感が持てた。(高)2002.10

▲紀香はインターポールの女刑事。

私的オススメ度☆☆☆
セクシー感は不満だがアクションは満足。特に車と二輪とビル。

藤原紀香NORIKA FUJIWARA
キャッツアイ2もやって!
誰もが認める渡辺裕之顔の共演男優(クォック)との恋仲も噂に。単に映画宣伝の一環かもね。


日本で起きた謎の拉致事件は
北朝鮮のあれだけではなかった

KT  KT

●発売/ブエナビスタ●138分●発売中●税抜16000円、DVD3800円●監督/阪本順治●出演/佐藤浩市、キム・ガプス ほか

 韓国大統領候補が東京で拉致され、5日後にソウルで保護された1973年の金大中事件を基にしたポリティカル・サスペンス。KTは金大中の頭文字。Kim Dae-jungの英語表記からすればDTだが、KとDの音をあまり区別しない韓国でKTと呼ばれたからKT(Kill the Targetの意も含む)。ただでさえ重い題材なのに、本作は日本の自衛官(佐藤)が事件に深く関わったという設定だから、さらに問題は複雑。軍隊っぽいのに軍隊じゃない自衛隊のジレンマまで織り込み済み。カップヌードルとか70年代の日本車とかビートルズの髪型とか、その辺の時代的小道具を懐かしんで喜ぶ見方もあり得る。でもそうもいかない感じ。時節柄、韓国でも北朝鮮でも拉致はダメとしか言えないわ、コリャ(KOREA)。(高)2002.10

私的オススメ度☆☆☆
今年で任期切れの金大中自身も観て、面白いと言ったとか。


ローラ・ボー(古)とは当然無関係!
空回りするローラーのような徒作

ローラーボール ROLLERBALL
●発売元/東宝東和●97分●税抜16000円、DVD3980円●10月2日発売●監督/ジョン・マクティアナン●出演/クリス・クライン、ジャン・レノ、LLクールJ ほか

 インラインスケーターとバイクライダーからなるチーム同士が、バンクのついた8の字コースで鉄球を奪い合ってゴールに入れる、オリンピックには絶対採用されなさそうな架空の見せ物スポーツ、それが「ローラーボール」。
 興業場所はなぜか中央アジア。バイクが人間を踏むのも茶飯事というただでさえ無謀な競技をより危険にするのは、視聴率至上主義者のオーナー、ジャン・レノ。選手のケガを承知で事故を起こさせて儲けに走る経営陣に、新人スター選手のクリス・クラインが立ち向かうヒーロー譚だ。が、このヒーローは一度敵からトンズラして失敗し、仕方なく出戻るパンチ不足な男。そのためか、みていてもヒロイックな充足感がほとんど伴わない。
 まあストーリーはどうでも、アクションで魅せてくれればいいのだが、肝心の試合シーンでアップや細かいカット割りを多用しすぎたために、一応スピード感はあるものの、選手たちが何をやってるんだかよくつかめないのが実情。ジャン・レノはジャン・レノで、運転しながらチェスをする車のCM程度の存在感に終始。 振り返ってみれば、本編開始直後の、公道をリュージュで走り抜けるシーンが、特に必要もないのに一番迫力があった。ローラーの空回りが目立った一作だ。(高)2002.09

▲75年にジェームズ・カーン主演で映画化された近未来SFを「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン監督がリメイク。
▲昭和40年代にブームを呼び、その後ジャニーズ系アイドルの必修科目でもあった「ローラーゲーム」とは別ものだ。
▲音楽にはラッパ我リヤも参加。 

私的オススメ度☆
繰り返しちゃうけど、リュージュの映画にすればよかったね。

クリス・クラインChris Klein
キアヌ・リーブスよりも先にハゲそうな面もちだ

「アメリカン・パイ」の「オレはカサノヴァ」と見栄をはる童貞役からアクションヒーローに出世。「ゲーリー・クーパーの再来」「ポスト・キアヌ・リーブスの筆頭」とされる青年だが、ヘルメットをかぶると魅力は200%ダウン。


ちんぽを小馬鹿にしたような、
ドイツ産お馬鹿セックスムービー

過激GIRLS☆GIRLS GIRLS ON TOP

●発売/ナド●89分●発売中●税抜16000円、DVD4700円●出演/ディアーナ・アムフト、フェリシタス・ヴォル他

 検索してもエロサイトばかりヒットするタイトル。コンドームを口でキュウリにかぶせるジャケ写(DVD版)。「サドルは自転車に乗るためだけじゃない」のコピー。劇中で出てくる「精子はビタミンC」「タマに食らいつけ!」と書かれたTシャツが大流行したとのエピソード。さすがは「足首 太もも 男の世界♪」のカーン様を産んだドイツ映画だぜダンケシェーン。と言いたいところだが、そうはいきまシェーン。SEXでイキたいならちんぽへの興味も不可欠なはずなのに、このドイツ娘たちときたら己の性器ばかりに気がいってちんぽに対する興味がまるでない。「男の体ってアレがブラブラしててブキミ」と言ってるようじゃイク資格なし。その辺も含め、ブスしか出てこない手コキビデオを見せられたような悔しさが漂う。(高)2002.09

▲「馬鹿映画好きは絶対観るべき」(クドカン)。そお?

私的オススメ度☆
自転車をこぎながらサドルでイク場面はなかなかの好演だ。


欲張りにエンタテイメントの要素を詰め込んで
成功した希有な作品!

ジェヴォーダンの獣 
LE PACTE DES LOUPS

●発売元/日活●138分●税抜16000円、DVD3800円●発売中●出演/サミュエル・ル・ビアン、ヴァンサン・カッセル ほか

 18世紀フランス。辺境のジェヴォーダン地方で謎の獣が女子供を惨殺する事件が続発。国王の命を受けた博物学者が調査すると、獣には意外な正体が…。史実に基づく歴史巨編で、ワイヤーワークを駆使したアクション巨編で、未確認生物が動き回るSFX巨編で、秘密結社が暗躍する暗黒巨編で、モニカ・ベルッチの球乳が弾む官能巨編でもあり。「エンタテイメント要素てんこ盛り」は、駄作の重要構成条件だが、本作はそれがいい方に結実した希有な例。見どころもなんでもありだが、特筆すべきは博物学者と行動を共にするアメリカ先住民マニ(マーク・ダカスコス)。必要以上に露出した肉体美は勿論、インディアンなのにカンフーの達人で「動物占い」が大得意という設定が実にナイス。さすがは「獣」の映画なのだ。(高)2002.08
 
私的オススメ度☆☆☆
主役だから許される強さと、「獣」の哀しい瞳に少しキュン。
主人公はデルピエロ演じるハリソン・フォードな感じ


あの韓国様にもこんなうじうじした男がいたのですね!

プライベートレッスン 青い体験 
Plum Blossom Spring Time

●発売/アルバトロス●105分●9月6日発売●税抜16000円、DVD4800円●出演/キム・レウォン、ペ・ドゥナ、ユン・ジヘ他

 狙いすぎな邦題をまとっているが、内容は穏健な青春物語。セックスシーンは頻出だが、「テーハンミングッ」な熱い韓国エロスは感じさせず、主眼はモラトリアム若人の描写。青春の弱々しいうじうじ性が韓国にもあるとわかって、今だに「テーハンミングッ」の幻聴に悩まされる筆者としては少し嬉しい。顔も体もセックスも日本と変わらないが、違うと思ったのは、男同士の親密さ。主人公と親友がやけに体と体を触れ合い、優しく肩を抱き、ブリーフ姿で語らい、全裸でじゃれる。あそこまで肌が接する友人関係は日本では少ないだろう。そして、女とヤりまくりなくせに喜ぶそぶりもない。もしかしたらこれは、互いの愛に気づかない男たちの切なさを描いた青春同性愛映画なのかも。(高)2002.08

私的オススメ度☆☆☆
そうはいっても、最後の電話のシーンはちょっと打たれた。


劇画タッチのセクシーパッケージには禁断の秘密が!?

クレオパトラ2525 エピソード2
●発売元/K2●86分●税抜16000円、DVD4800円●8月2日発売●出演/ジーナ・トレス、ジェニファー・スカイ ほか

 一見してパッケージが素晴らしいと思った。映画館の看板絵風筆致で描かれたセクシー女子が3人も。顔はそれほどでもないが、巨乳+外人+武装だけで十分。髪や人種のバリエーションも申し分なし。真ん中の女性のヘソの下が黒っぽくて毛深そうなのもグー…。「スターウォーズ」+「チャーリーズ・エンジェル」な世界に期待を膨らませた瞬間、気づいてしまった。よく見るとこの絵、首から上は写真だ! 顔描写が苦手な絵師なのか?否。実はこの3人、実物はセクシーじゃないのだ。本当は全部写真で出したいが、それだと魅力が減るため、窮余の策でボディをデフォルメしたのだろうか。セクシーがウリのはずなのにボディ失格の烙印を押された3人の活躍は憐憫なしには見られない。(高) 2002.07
 
私的オススメ度☆
製作総指揮は「スパイダーマン」のサム・ライミ。ふぅん。



手のしわとしわを合わせてしあわせ、
手の節と節を合わせてふしあわせ…

13サーティーン みんなのしあわせ LA COMUNIDAD

●発売/アットエンタテイメント●105分●8月2日発売●税抜16000円、DVD4700円●出演/カルメン・マウラほか

 「どつかれてアンダルシア(仮)」の奇才、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の新作は、マドリッドの古マンションを舞台にした現金争奪劇。主人公は不動産会社の中年営業ウーマン。ある日、売り物の物件で一夜を過ごしたら、上の部屋から独居老人の腐乱死体と大金が。大金を持ち逃げしようとする彼女を、マンションの住人たち13人が執拗にとめる。彼らは協定を結び、老人が死んだら金を山分けして「みんなの」幸せをつかもうと20年間も待っていたのだ。果たして彼女は脱出して自分だけの幸せをつかめるのか…。金のためには20年来の同志を殺すのも厭わない人間の業。公開時は150万人ものスペイン人がこれを観て爆笑したというが、突然「マトリックス」のパロディが登場しても、ダースベイダーマニアの男が主人公の風呂場を覗いて股間のフォースをほとばしらせても、筆者のように弱々しい日本人には引きつった笑いがせいぜいだった。こんな激しくも悲しい人間模様を笑い飛ばし、他人の不幸を見て笑える幸福なメンタリティを持っているとしたら、スペイン人とはいい意味で悪い性格の奴らだ。無敵艦隊だ。(高) 2002.07

私的オススメ度☆☆☆☆
エレベーターで真っ二つに切断される男の上半分側が悲惨〜。
スペインの中年大女優マウラさん。シャワーシーンで尻もおがめます。


セクシー母娘の結婚詐欺コメディ!
おっぱいを観るので精いっぱいです!

ハートブレイカー HEARTBREAKERS
●発売元/アミューズ●124分●税抜16000円、DVD3800円●発売中●出演/ジェニファー・ラブ・ヒューイット ほか

 またセクシー役? 結婚詐欺師として男を悩殺? 「ギャラクエ」で新境地を拓いたからって、調子に乗んなシガニー52歳! 男をなめんなよ!と怒り心頭で観たものの、これがなかなか。極薄唇と寄り目は健在だが、谷間が有無を言わさない。実はボディは合成で、観客も騙す一流詐欺師ってことか、と早合点したほど。それにも増して、シガニーの娘役、榎本加奈子に乳房をつけた風のジェニファーが、小で細だが豊な理想的肉体展開。どれも名衣装だが、特にメイドの面接場面で見せた、外巻きショートヘア&胸むき出しワンピwith黒首巻の組み合わせは、メイド史に残る名ビジュアル。その格好でご主人様に飲み物をこぼして跪いて内股をいそいそ拭いて…。溜息が出ました。比喩でなく物理的に。MAID OF THE YEARに決定。(高) 2002.06
 
私的オススメ度☆☆☆☆
やっぱり外人女性の名前はジェニファーでなくっちゃ!
洋画はフェラを思わせるシーンが多いからいいよね?
母の結婚相手を娘が誘惑して慰謝料を請求するのです。


超短小な人間と超巨根な狼だったら、
あなたはどちらを選びますか?

ザ・ウルフ WOLFGIRL

●発売/大映●97分●発売中●税抜16000円●出演/ビクトリア・サンチェス、ティム・カリーほか

 狼の姿を持つ人間と人間の姿を持つ狼、どっちがいい?と問う人狼映画。狼少女(美人)が体毛にブラシをかける姿が野生と人工の融合って感じで実にセクシー。現代劇なのに狼少女が属する見せ物小屋が映る場面が妙にレトロ。非日常感が横溢する映像は見応えがありますが、姿を人間に近づける血清の副作用で心が獣化していく狼少女の葛藤という内容に目新しさは皆無。ところがどっこい。狼少女をいじめた男子が、赤ん坊並の短小ちんぽを狼少女に見られて、口封じしようとして殺された後、死体を発見した女友達が股間を見て気色悪そうに「フリークス」ってつぶやくんですよ。股間が薄ら寒くなりました。ちんぽが小さいだけで奇形か…。弱肉強食の厳しい現実。己の股間をじっと見つめざるを得ない問題作です。(高) 2002.06

私的オススメ度☆☆☆☆☆
巨根の人が観てもあまり楽しめないでしょうな。おめでとう。
こういう毛むくじゃら美人って結構そそるよね?ね?


フランス人の皮を被った狼や
狼の皮を被ったフランス人が
「赤ずきん」を演じています

赤ずきんの森  
PROMENONS-NOUS DANS LES BOLS
●発売元/ポニーキャニオン●90分●税抜16000円、DVD3800円●発売中●監督/リオネル・デルプランク●出演/ヴァンサン・ルクール、クロチルド・クロウほか

 老紳士と孫と使用人の3人しかいない、森の奥の不気味な古城で繰り広げられるフレンチホラー。犠牲者は老紳士が孫の誕生日祝いの余興に招待した学生劇団の男女5人。「赤ずきん」を演じた夜、「赤ずきん」の狼の仮面をつけた殺人鬼に次々襲われるというオツな趣向。狼の腹を割く劇中場面と剥製作りで狩の獲物の腹を割く現実場面、口がきけない劇団員と耳が聞こえない孫、同性愛のカップルとストレートのカップルなど、対称構造が随所に散在。絞殺に刺殺に銃殺に動物用仕掛け罠殺と殺人方法は豊富。野外性交に覗きに盗撮とその手のサービス精神も旺盛。食事中に突如己の手にフォークを全力でぶっ刺す孫を筆頭に皆が皆イヤーな感じのキャラ設定も素敵。これでもかと提示しまくった小道具や伏線の辻褄を無理にあわせようとせず、思わせぶりホラーの雰囲気作りだけで満足したのが、いいっちゃあいいところ。物語が終わってもスッキリしない後味の悪さ。消化の悪さ。腹に石を詰めて縫われる狼の気持ちにはなれる一編。(高) 2002.05
 
私的オススメ度☆☆☆
ぼそぼそ喋るフランス語って、それだけでも思わせぶり感大。
全裸ヌードをサービスするクロチルド・クロウはプッツン女優とうたわれた石原真理子改め真理絵似。


十年後のオスメント坊や(ニセ)が
サッカーと恋とサンバでマンボ?

マッド・アバウト・マンボ MAD ABOUT MAMBO

●発売/ミュージアム●93分●発売中●税抜16000円●出演/ケリー・ラッセル、ウィリアム・アッシュほか

 ハーレイ・ジョエル・オスメント君が十年後没落したらこんな顔だろうと思わせてやまない、北アイルランドのさえないサッカー少年ダニー。「サッカーはリズムだ」というブラジル選手の台詞にほだされてサンバ教室に行ったら美人令嬢とダンス大会に出ることになり、サッカーにダンスに恋にと大忙しでよかったね、の青春譚。親の七光りを脱しようとダンスに燃える令嬢が結局親のセッティングでダンス的成功を収めたり、主人公の夢がサッカーだかダンスだかわからなくなる弱点はあるが、カトリックとプロテスタントの対立、伝統のゲーリックフットボールとサッカーの立場描写など、かの地のお国事情を知るには格好の題材であることは確か。題名に使ったのがなんでサンバじゃなくてマンボなのか解せないのも確か。(高) 2002.05

私的オススメ度☆☆☆

2002W杯で来るアイルランドと北アイルランドは別ものです。
サンバの名手役にケリー・ラッセル。産婆役ではない。


ごくごく当たり前に作った感じの、
悪い気はしない少年スポーツ映画

リトル・ストライカー There's Only One Jimmy Grimble

●発売元/メディアファクトリー●106分●税抜4700円(DVD)●5月3日発売●出演/ロバート・カーライルほか

 一人だと滅法うまいのに人前では緊張してダメダメなサッカー少年が、謎の老女がくれた「魔法の」スパイクで大活躍。そのスパイクがなくなったとき、果たして彼は本物の勇気を発揮できるのか…。誰もが想像できる展開でも、ごく普通に作ってありさえすれば少年スポーツ映画ってそれなりに悪い気はしないもの、という定説を地でいく作品。マンチェスターのライバルクラブ間サポーター対立、スタジアムのプログラム売りや冴えないコーチのエピソード、爪を粉砕しているに違いない自陣からのトーキックロングシュートなど、サッカー的な見どころは多いが、最も際立っているのは「『これから何が起こるんだろう』という期待感のある映画でした」というコメントを寄せた現役サッカー選手の無垢っぷり。いいなあ、小野。(高) 2002.04
 
主人公とギャラガー兄弟(オアシス)は「シティ」の大ファン。
ロバート・カーライルはワケありのサッカーコーチ。


もうひとつの「少林サッカー」?そんな期待を裏切る韓国刑務所物語

ミラクル・サッカー PRISON WORLD CUP

●発売/徳間JC●100分●5月10日発売●税抜16000円●出演/チョン・ジニョン、チョ・ジェヒョンほか

 日韓共催ワールドカップ直前というこれ以上ないタイミングでリリースされた韓国産サッカームービー。信じられない奇跡的プレーが続出するアジアのサッカー映画が巷では話題になっているらしい、とおぼろげに覚えていた筆者としては、「ミラクル・サッカー」という題名を見て、「おっ、これか!」とにわかに色めき立ち、いそいそと鑑賞を開始。開始数分の時点でなんか違うなと思いました。原題が忠実に示すように、ここで描かれているのはあの「少林サッカー」のようなミラクルなサッカーではなく、刑務所のサッカー。囚人選手によるワールドカップに派遣する代表チームを決める刑務所別予選試合を描いた映画でした。事あるごとに煙突にのぼる常習犯、男娼、脱走の常連、いつも横になっている死刑囚とバラエティ色重視のメンバー構成で、コメディだけどホロリもあるでよ、みたいな狙いのようですが、一部選手の裏切りとか死刑囚の処遇とか、シリアスパートが目立ちすぎた印象。どうせだったら「小林サッカー」(小林姓の選手しかいない)とかにしてよりまぎらわしくて軽そうな題名にした方がよかったかも?(高) 2002.04

▽韓国の囚人服とチーム名「FC希望」がなんとなくオツな感じ
▽勝つためには囚人の選手化より選手の囚人化の方が確実だったかも。


「世界はどちらの肉球に?」の予告編で見せた面白さは
残念な子供限定仕様で帳消しに

キャッツ&ドッグス Cats and Dogs
●発売元/WHV●87分●税抜12000円、DVD1500円●4月5日発売●監督/ローレンス・グータマン●出演/ジェフ・ゴールドブラム、エリザベス・パーキンズほか

 チンチンしたりノドを鳴らしたり、表ではかわいい仕草を見せる犬猫が、裏では人間の言葉を話していたら…。しかも本性むき出しに壮絶な殺戮合戦を繰り広げていたら…。さらにハイテク装備を備えて宇宙にも進出していたら…。「Oh,my dog!」か「キャット驚くタメゴロー」と叫びたいところだが、そんな少年らしい着想を最新VFXで映画化したのが本作。
 犬アレルギー撲滅に邁進する科学者の一家を守ろうとする犬一派と、鼠と「悪の枢軸」を形成して世界征服を目論む猫一派。犬は普通にかわいく、猫は明らかに邪悪なタッチで描かれているように、単純な善悪二元論が貫かれており、少々薄っぺらな印象だ。飼い主の少年と犬の友情という教育的なテーマが強く流れているのも、いかにも子供仕様で鼻につく。古代エジプトから始まる犬猫闘争を描いた辺りには往年の「カノッサの屈辱」然としたきらめきも感じられただけに残念。あと、猫は本当に勝ちたいなら鼠でなく蠅と手を組むべきだったろう。科学者役は「ザ・フライ」のあの男。(高) 2002.03
 
▽カンフーをベースにしたニンジャ猫の「ネコパンチ」は完璧。
▽主人公はビーグル。マヌケな裏玉(裏から見た玉袋の意)は拝めず。日本語吹替版はいっこく堂が担当。


ワールドカップと関係あり、ワンカップ大関と関係なし

2002 ワンワンカップ Air Bud 3: World Pup

●発売/アップセット●83分●4月5日発売●税抜16000円、DVD4700円●出演/ケヴィン・ゼガース、カイトリン・ワッシュ

 これまでに2本の映画に出演、バスケとアメフトの世界で輝かしい足跡を残したスポーツ万能犬のバディが、W杯のニオイを嗅ぎつけたか、今度はサッカーに挑戦。湿った鼻先を用いる人間離れしたヘディングなどで弱小高校チームを頂点に導き、最終的には女子W杯決勝の大舞台で勝負を決める大活躍を見せる。人畜無害なファミリー映画ではあるが、飼い主の男子高校生がいちいちキメ顔を作りすぎで失笑度が高い、1999年女子W杯で優勝した米国女子代表で、ユニフォームを脱いでブラ姿を惜しみなく披露したチャスティン選手も出演など、ピンポイントな見どころも探せばあり。ただ、日韓共催の2002年W杯にバディ選手を参加させるのは少々難しい。韓国には犬鍋料理があるのだ。(高) 2002.03

▽アメリカでは女子の方がサッカーが盛んと改めてわかる一本。


ロシア語のテルミンを逆から読むと「不死」の意らしいす

テルミン THEREMIN AN ELECTRONIC ODYSSEY

●発売元/アスミック●84分●税抜16000円、DVD4700円●発売中●出演/レオン・テルミン他

 テルミンは世界最古の電子楽器。空間に手をかざして磁場を変化させ、「エーテル波の音楽」と呼ぶにふさわしいヨョヨョヨョヨとした音色を紡ぎ出す。白黒時代のSF映画で宇宙人の効果音として愛されたというレトロでトレモロな未来感とともに、儚い物哀しさが満載で、どうか音が消え入りませんように、と祈りながら聴きたくなる好楽器だ。
 本作は、そんな楽器を世に出した「ソ連のエジソン」、テルミン博士の数奇な人生を、関係者コメントと晩年の本人インタビューで綴るドキュメンタリー。楽器は勿論だが、晩年の博士本人が実にいい。栄光に彩られた若い頃のシャープでグレイスフルな容貌は、KGBの拉致から始まる厳しい後半生のために風化し、自由に操れた英語はたどたどしく退化し、ただでさえ老人の手のように震えるのが特徴的なテルミン演奏の手元は、演奏上の要請とは別の理由で震えが強化されてしまった。だが、博士の顔を見ていると、特別な業績を残した老人の姿がそれだけで十分に感動的であることに気づかされる。拉致前に愛した女性との実質半世紀ぶりの再会を終え、雑踏に消えていくよちよち歩きの後ろ姿には、吉田照美ですら涙せずにはいられないはず。1993年、映画公開の翌日、レオン・テルミン没。(高) 2002.02
 


花柄のパンティはお好きか?

絵里に首ったけ
●発売/KSS●85分●3月8日発売●税抜16000円、DVD3800円●監督/三原光尋●出演/大河内奈々子、福田転球、東野佑実他

 ラグビー部を舞台にしたコテコテスポ根コメディ。大河内奈々子、かわいくないともグラマーでないとも言い切れないが、高校の廃れた名門ラグビー部を女の武器で復活させる絵里先生としては、声がかすれすぎ。ダミ声too much。老いた雌鶏の風情。普通の健康な高校生なら萎えると思うが、この高校のラグビー部員は非常に老けているので、むしろよかったのかも? 老けてるのはいいとしても、部員に華がなさすぎ。特にリーダー格の役者が、いかにも舞台人という雰囲気が強く、銀幕にもブラウン管にも映えなさそうだ。新入部員にラーメン屋、カンフーマン、小学生と多彩な顔ぶれを揃えたが、補完には至らず。練習試合をやった女性チームの選手の顔がなぜかぼかされていることの方が気になる始末。舞台裏のもめ事妄想のみ楽しみながら観ていたが、最後に起死回生の一打が待っていた。高校生ラガーは花園ラグビー場を目指す。この常識を踏まえた秘策を、絵里先生が披露したのだ。ヒントは花柄。華のなさを補って余りある花々しいラストだけには首ったけ。(高) 2002.02


好きな人の「あっさりゴミ」をあさりたい?

東京ゴミ女 TOKYO GOMI ONNA

●発売元/KSS●93分●税抜16000円、DVD3800円●2月8日発売●監督/廣木隆一●出演/中村麻美、鈴木一真、柴咲コウ、田口トモロヲ、小山田サユリ他

 主人公(中村)は、他人との密なコミュニケーションが得意でない喫茶店ウェイトレス。同じマンションに住む男(鈴木)に恋心を抱いているが、挨拶レベル以上に踏み込むことはない。
 が、一方でごく私的な部分には踏み込んでいる。それはゴミ。男が出すゴミ袋をあさり、生活の痕跡がうかがえるゴミを選り抜いては保存し、ニヤリほくそえむのが日課だ。最近タバコの本数が増えているとか、いつもシリアルばっか食ってるとか、またオーディションに落ちたとか、ゴミから得た私的情報の蓄積で、自分こそ男の一番の理解者だと思って悦に入っているわけ。
 「鬼畜系」で有名な村崎百郎と似たようなもんだが、違うのはこれが女で、若くて、しかもそこそこ美人ということ。そのおかげで、本来おぞましいゴミあさり映画にもかかわらず、どす黒さを感じさせない爽やか風味が漂った。ゴミ袋の内容物から生ゴミやティッシュなどのしっとり系を極力排除、タバコの空き箱や封筒などの乾きもの系でまとめた演出で、おしゃれに見せることにさえ成功している。あんなにあっさりしたゴミばかりなら、字面的にゴミあさりしたくなって当然とも言える。
 「純愛」がテーマのドラマとしては、特に異論を唱えようとは思わない。ただ、ゴミ袋から使用済コンドームが出てきたときの主人公の対応には疑問。ヒステリックに壁にぶつけてせっかくの精液をスポイルしてしまったのだ。他の女との情事で出たものとはいえ、精液は精液。あがめ奉ってくれないとおかしい。精子の遺伝子には他のゴミを圧倒する情報量が含まれているはずで、好きな男の情報を得ようと躍起な主人公には、最高のお宝のはずなのだ。これが、ヤリマン女を演じ、本作で映画デビューを飾った柴咲「ポンズダブルホワイト」コウだったら、「ファンデーションは使ってません。かわりに他人のゴミ袋から採った精液を塗ってます」と言ってくれたろうに。…なんて書いてる奴こそゴミ野郎であることは間違いない。しっとり系の。(高) 2002.01
 

注目! 中村麻美 MAMI NAKAMURA

アサミさんなんだと思ってたら実はマミさんでした!

「ファザーファッカー」の主演オーディションでデビューした若手演技派。「富江」では菅野美穂と対決する美少女を演じた。若い頃の本上まなみをも少し二流にして仲間由紀恵を一瞬まぶした容貌。


ネズミのヤバさを再確認でチュー!

ファングス RATS

●発売/プライムウェーブ●100分●発売中●税抜12000円、DVD4800円●監督/イエルグ・ルードルフ●出演/ラルフ・ヘルフォーツ

 ミッキーにジェリーにトッポジージョにハム太郎。バーチャルな存在としては人気者も多いネズミとその仲間たちだが、リアルな生物としては嫌われ者。顔はかわいい方だ。が、シッポがヤバい。ぞわっとくる。犬猫みたいに毛が覆っていればいいが、肌、むきだし。ほ乳類離れしてる。巨大ミミズさげてるみたいだし。
 そんなネズミどもが都市の地下で異常発生した!「鼠肉のハンバーガー屋が喜ぶぞ」「鼠算の実地学習だ」などと軽口を叩く間もなく、ネズミは電線を噛み切って都市機能を麻痺させ、謎の疫病を蔓延させ、人間社会はパニックに陥った! でも主人公が群れを爆破して落着した!(完) というドイツ映画。
 アニマルパニックにウイルスパニックと感動人間ドラマを加えたという欲張りぶりはさておき、数百万匹のネズミの大群CGは見事。「びっしり」感はフジツボ以上。話のどうでもよさを補ってあまりある迫力。便器に迷い込んだネズミを主人公がわざわざ拳銃でぶっ放す残酷場面からは不屈のゲルマン魂が伝わる。ハム太郎好きなお子様には見せない方が無難。へけっ!(高) 2002.01


トルコが生み出した「不完全なる飼育」

エレベーター ASANSOR(THE ELEVATOR)

●発売元/ファインアーツ●93分●税抜16000円、DVD4800円●1月1日発売●監督/ムスタファ・アルトゥノクラル●出演/アルズ・ヤナルダーほか

 いやー、いいです。グッドです。アルズ・ヤナルダー。本作の主演女優。少しだけアヌスとアナルを思い出させる名前がまたグッド。トルコ出身のスーパーモデルらしいが、どういうモデルなのかは不明(スーパーのチラシモデルでないことは確か)。何がいいって、顔です。フェイスです。もう完璧。単に筆者の好みだって話ではなく、これはいわゆる一つの「ユニバーサル・デザイン」。トルコでも日本でもアメリカでもアフガンでも、どの国の男子でもタマがジーンとうなること必至。火星に男子がいるならば火星でも必至。ヘアは男子の憧れ、金髪ボブ。クーッ。特に下方向からの角度が絶品で、男を壊れたエレベーターに監禁する謎の官能レディを演じた本作には実に適役。旧式エレベーターの檻越しに見上げるとさぞやグッとくるだろうと思わせます。監禁の様子を隠しカメラで撮って公開して視聴率至上主義のマスコミに批判を投げかける的なメッセージは無視してOK。飼育が進むうちに芽生える真実の愛なんてのも無視してOK。露骨なシーンなどほぼなくても官能を表現しえた女優の奇跡を堪能したい。うう、こんな女に監禁されてぇ〜。なんて思ってうっとりみていたら、魅了の主因ともいうべき金髪が実はヅラ。ヅラをとったら実は全然たいしたことない女でやんの。ガックリきたと同時に、ヅラの威力をまざまざ見せつけられたと同時に、高所から急降下させられた気分。まさに壊れたエレベーターって映画。(高) 2001.12



さすが007、無人島でも苦労せず

ロビンソン・クルーソー DANIEL DEFOE'S ROBINSON CRUSOE

●発売/クロックワークス●91分●発売中●税抜16000円●監督/ジョージ・ミラー●出演/ピアース・ブロスナン

 少年時代に一度は通過するデフォーの無人島漂流記の映画化。ですが、このクルーソーさんは何もないはずの孤島でもほとんど苦労知らず。なんでも揃った南国リゾートに遊びに来た休日のお父さんみたいに、アウトドアライフを満喫して楽しそうです。無人島って、一国一城の主みたいな気分で、自由で面白そうだもんね。日頃窮屈な生活を余儀なくされている現代人としては憧れちゃうよね。あくまで絵空事レベルとしては。91分という限られた時間では、原作が伝える無人島生活の絶望的な時間感覚を表現するなんて無理だろうし、一応本作では従僕・フライデーとの友情に重きを置いているって事情もあるでしょうが、それにしてももう少し生活上の苦労とか孤独っぷりとか見せてくれないと。これじゃあまりに浅すぎて、大がかりなコスプレかディズニーランド「スイスファミリー・ツリーハウス」の域を脱していない感じですな。まあ、このクルーソーさんはあの高名なスパイと同じ顔ですから、困難をものともしない行動力やらなんやらを備えていたってことですかな。(高) 2001.12


三輪姉妹と松尾兄弟があいまみえる自己PR合戦

いきすだま 生霊 IKISUDAMA

●発売元/東映ビデオ●118分●DVD税抜5200円●12月7日発売●監督/池田敏春

 10万部突破の漫画が原作の心霊恐怖映画。同級生男子につきまとう暗い女子高生の想いが生霊となって人を殺しちゃう第1話と、ベランダの石のせいで住人に不幸がふりかかる第2話からなるオムニバス構成。恐怖映画としては、特別に怖いわけではないが、特別に怖くないわけでもない、要するにどうということもない印象。テープが進むうちに自然と出演者の顔しか見なくなっている自分に気づくだろう。主な出演者は4人。2組のきょうだいをカップリング。よっちゃん(野村義男)テイスト満載の弟と、Bユz稲葉テイスト半載の兄からなる松尾兄弟は、不必要に長い演奏シーンで自分らの音楽ユニット「DOGGY BAG」の宣伝活動に集中。対してこのところめっきりホラーづいている三輪姉妹は演技披露に集中。姉・ひとみは日本屈指の加工技術を駆使して特殊スポンジを一体成形する名門・ハルミデザインズの高級ラブドール「みちこ」(B80/W56/H80/67000円)を彷彿とさせる出来。78年生まれで高校生役は少しキツいが、中途半端にセクシーなのがちょうどいい感じに機能している。妹・明日美は石川秀美系の健康感たっぷり。顔の輪郭もたっぷり。広末涼子の悪いときに似た面影をあわせ持っており今後の顔変遷だけには期待が持てそうだ。(高) 2001.11


セガール、CMのイメージを引きずってお笑いに転身か!?

(DVD)●発売/WHV●101分●発売中●税抜2500円●監督/アンジェイ・バートコウィアク

DENGEKI 電撃 EXIT WOUNDS

 アクションスターであり、藤谷文子と剣太郎セガールの親父であり、関西弁を操る「ごんぶと」野郎でもあるスティーブン・セガール、久々の主演作は「痛快ポリスアクション」。鉄砲を持っているのに無鉄砲なはみだし刑事が警察署内の腐敗を一人で手荒に解決するというお決まりのストーリーだが、本作ではコメディ色を強く出しているのが特徴。間違えて同僚を逮捕したり、性格克服セミナーに通わされたり、立ち上がっただけで机を破壊したり(これじゃ怪獣扱い)、交通整理係として腰を振ったりと、情けなさをふんだんに演出。日本人向けに「こう見えても疲れてまんねん」とさえ言い出しそうな始末。俺はお笑い担当でいいやと悟って「ヒップホップ界のカリスマ」らしいもう一人の主役にカッコいいところは全て譲ったかのようだ。セガールがクールなアクションヒーローから無骨な三流お笑い芸人へ踏み出した記念すべき一作なのかも。(高) 2001.11

▲この人、こんなに太ってたっけか…。
▲セガール映画の興行成績記録更新!


当たり役を前にすれば歌声すら許せる!?

GTO スペシャル  GREAT TEACHER ONIZUKA
●発売元/ポニーキャニオン●120分●発売中●税抜12000円、DVD3800円●原作/藤沢とおる●出演/反町隆史、松嶋奈菜々子、片瀬那奈、細川茂樹 他

 中学生の頃、TOKIOの城島茂やV6の坂本昌行と一緒にジャニーズ「平家派」の一員としてあの光GENJIのバックを務めたこともある野口隆史クン。当時はそれほど目立つ存在でもなかった彼が、今や人気抜群でテレビでもCMでもひっぱりだこの反町隆史になるとは、誰も予想できなかったに違いない。…なんて週刊誌的知識はおいといて、「グレート・ティーチャー・オニヅカ」こと反町隆史が大暴れする「GTO」。言わずと知れた人気ドラマの続編となるスペシャル版であります。
 今回は、型破り教師・鬼塚がいつもの高校から女子高へ代理教師として赴任するお話。本場もんのルーズソックスだぜグヘヘヘと意気上がる鬼塚に対し、生徒たちは徹底無視の洗礼。一人だけ心を開いた生徒・リカ(片瀬那奈/トマトプリッツの子。ちょい内田有紀似)が、実は前担任のモテモテ教師と秘密のラブ関係にあって、いろいろごたごたあれこれさまざまああだこうだすったもんだ起こるわけ。
 いわば雨降って地固まる式のお安い青春友情物語であり、立場を省みない熱血野郎の教師びんびん物語なわけで、普通なら鼻についてもおかしくないところだが、全然そんな印象は起きない。中尾彬、北村総一朗ほかの脇役陣の堂に入った脇っぷりもあるが、それはやはり反町自身の持つ軽さのせいだろう。
 バイクで高速を疾走するだけのタイトル映像や、眉をしかめるキメ表情の頻発に顕著だが、「オレは岩城滉一路線でいいんだもんね」的な潔い割り切りが反町には感じられるのである。竹野内豊の湿った重さとは違う乾いた軽さがある。反町がバイクレースに手を出す日もすぐだ。夕焼けをバックにハウスカレーを作る日も遠くない。…などと思えるほどに、ツバなしヘルメットをかぶりグラサンをかけた反町はまるっきり岩城滉一その人なのでした。
 そう考えると、国民全員が「そろそろ誰か言ってやれよ」と思っているに違いない彼の歌ですら、まいっかと思えてくるから不思議。この作品でも勿論テーマソング歌ってます。(高) 1999.09
 
▲ジャニーズを捨てたのが奏功?
▲12月には映画版も公開予定だ。

松嶋菜々子 NANAKO MATSUSHIMA
二代目・きれいなお姉さんは長身女優界をリードする

 92年度旭化成キャンペーンガール。「リング」「らせん」「魔女の条件」と話題作への出演が続いている。とんねるずの番組で「072」(=オナニー)と連発していた頃のことなど微塵も感じさせない。鼻から口のあたりにかけて、ちょっとドクロっぽい印象を持つ人もいる(筆者のみ)。2000年公開の映画「ホワイトアウト」で織田裕二と共演の予定。



犬にポジションをとられたら中田も名波もグレるでしょう

サッカードッグ
●販売元/SPE●98分●発売中●税抜15300円●監督/トニー・ジグリオ●出演/ジェームズ・マーシャル 他


 サッカーをする犬の映画だから「サッカードッグ」。これ以上ないシンプルなタイトルです。この潔さの前には「安直だ」なんて安直な批判は全く無力です。
 タイトルは最高だと心から思いましたが、内容的に最高とは心から思えませんでした。サッカーが上手な犬・リンカーンが少年チームで活躍、飼い主の少年が養父と絆を深める、という筋書きは最初から了解可能ですが、何よりテンポ悪すぎ。ブラジル代表の壁パスのような小気味よさはまるでゼロ。セリフの端々に、画面の端々に、ダルな気配が漂ってます。
 あと気になったのが、犬優先に伴う人間虐待の姿勢。犬が入ることで試合に出られない人間選手がいるわけです。辛いですよ、彼は。「犬にレギュラーをとられたストライカー」として生きてくんですから。たぶん彼はサッカーを捨てて、野犬駆除の仕事につくことでしょう。まぁ実力主義の世界だから仕方ないんですけどね。じゃ、最後に紋切り型の捨て台詞。リンカーン選手が日本に帰化して我が代表の得点力不足を解決してくれることを祈ります。(高) 1999.09



毛布とは関係がない新世代紳士強盗活劇

プランケット&マクレーン PLUNKETT AND MACLEANE

●発売元/パイオニアLDC●101分●カラー●3月3日発売●税抜16000円、DVD3800円●監督/ジェイク・スコット●出演/ロバート・カーライル他

 題名を不注意に読みがちなアナタなら、一介の毛布屋、または片時も愛用の毛布を手放さない毛布大好き男が数々の苦難を乗り越えてF1の名門チームにまでのぼり詰める物語を想像したかもしれませんが、それは勿論お門違いな一字違い。これはブランケットでなくプランケット。マクラーレンでなくマクレーン。18世紀のロンドンに実在した紳士強盗コンビ、プランケットとマクレーンを描いた物語であります。
 18世紀という時代柄、ロンドンの社交界という舞台柄、登場するのはハンズに売ってるようなヘンなヅラをつけて「その豊かな黒髪に僕を迷わせ、花の唇の虜にするつもりか!」と叫びながらセックスするのが普通という、実にいけすかない上流階級連中ばかり。
 画面が一様に暗く、序盤はどういう話なのかよくわからない面があるものの、のろのろした古くさい時代劇という印象はなし。むしろ現代的でスピーディーなアクション映画の香りが濃厚。新版「明日に向かって撃て!」もしくは英国版「ねずみ小僧」といった雰囲気も少々。さすがにナイキのCMやU2のPVを手がけたMTV界出身の監督(リドリー・スコットの実の息子)だけあって軽快です。
 とはいえ、それほどの見せ場が続くわけでもなく、紳士強盗コンビの一人が恋する気の強い上流レディーを演じた紅一点、リブ‘ラックス’タイラーに興味は自然と集中するはず。上質です。荒井注に似た腹黒いおっさんに「あなた、息が臭いわ」と冷たく言い放つシーンにはキュンときちゃうこと必至。残念ながら濡れ場も乳出しもないものの、このセリフの「息」の部分を「股間」などに読み換える一工夫で己を奮い立たせることは充分可能と言えます。
 強盗を重ねるうちに深まる男二人の友情なんてどうでもいいけど、美人が拝めたからまぁよしとすっか、と思いかけた終盤、捕まった強盗の一人が吊し首にされてから、映画は俄然活気を取り戻します。強盗の類稀なる首の強さが、映画全体の面白さを首の皮一枚で繋ぎ止めた。そんな感じです。(高) 2001.2

注目!
リブ・タイラー LIV TYLER

日本リーバも飛びついた黒髪面長系正統派二世美人

「トレスポ」つながりの男二人を上回る存在感を発揮したリブは「アルマゲドン」で有名になった23歳米国人。エアロ・スミスのS・タイラーの娘でありガブリエル・アンウォーと並ぶラックスクイーン。



全然かわいくねぇんだよ、鳥!

トゥイーティーのフライング・アドベンチャー 80日間世界一周大冒険
TWEETY'S HIGH-FLYING ADVENTURE

●発売元/WHV●72分●3月9日発売●税抜2500円●監督/ジェームズ・T・ウォーカー●声の出演/こおろぎさとみ他

 トゥイーティー。成人男子としては、見たことはあっても名前までは知らないキャラだろう。どうやらカナリヤのようだが、これが全然かわいくない。頭でっかちで目が縦長で毛が3本しかない肢体は、弱小だが腹黒い宇宙人、またはムンクの「叫び」を思わせる。一歩譲ってビジュアル面は抜きにしても、世界中の猫をコケにして得意げになっていやがるその性格がかわいくない。不当な猫差別主義者として、将来きゃっと、いや、きっと痛い目にあうだろうて。二歩譲って性格面は抜きにしても、そのしゃべり方が鼻につく。「たちゅけて」(助けて)、「あいがと」(ありがとう)、「そえなあ」(それなら)と、いかにも大の大人が必要以上に舌足らずを意識してしゃべっている感じ。ほんとに人気あんのか、と疑わざるを得ないトゥイーティーが80日間でおざなりに世界を一周する本編は、深夜横になって観賞すれば安眠を導くこと請け合い。どこの国でもかわいくないとみなされて世界中たらい回しを余儀なくされている可哀想な小鳥の話と思えば、まだ少しは興味がわくかも。(高) 2001.2



テクを学べはしない車泥棒アクション劇

60セカンズ
GONE IN SIXTY SECONDS

●発売元/ブエナビスタHE●118分●4月18日発売●DVD税抜2500円●監督/ドミニク・セナ●製作/ジェリー・ブラッカイマー

「男は60秒で車を盗み、女は60秒でハートを盗む」。しゃらくさいコピーとスタイリッシュな映像の予告編が公開時に評判だったらしい車泥棒アクション。
 男はニコラス・ケイジ。端的に物理的な意味で、恐らく世界で一番鼻の下が長い男。端的に音声的な意味では、ニコラスという名の刑事をイメージさせる男。本作では刑事でなく、引退した伝説のカリスマ車泥棒だ。
 女はアンジェリーナ・ジョリー。端的に紹介的な意味で、アカデミー助演女優賞受賞女優。端的に音声的な意味では、名犬ジョリィをイメージさせる女。本作ではピレネーの名犬ではなく、ケイジと昔恋人関係だったセクシーな窃盗エキスパートだ。
 当然、キャスト的には二人の情事が目玉となってよいはずだが、残念ながらジョリーは出番自体少ない。唯一の見せ場は狭い車内でケイジと一発やろうとして「これが邪魔ね」とか言ってシフトレバーに触れる場面。当然「さあ、あなたのシフトレバーをトップに�」的な展開が期待されたのだが…。美女がマニュアル車を運転する手元だけを映したビデオがあったらなムフフ…という以上の妄想は不可能だった。
 一方、好事家の妄想心をくすぐりそうなのが、ケイジらが24時間で盗む50台の高級車。マニア垂涎の車ばかりだが、ドロシー(Mercedes-Benz 300SL/Gullwing)、デボラ(Jaguar XK8 Coupe)、パメラ(Chevrolet Corvette)といかにも好色そうな外人女の名前がつけられているため、カー(との)セックスに興奮する一部層にはお勧めだ。あえて言えば、ヒラリー(Lexus LS400)は、クリントンでなくとも萎えそう。
 「車とは操縦できる彫刻のようなもの」と語る車好きなケイジが思う存分挑戦した後半のカーチェイスはさすがに引き込まれるが、肝心の車泥棒のテクがほとんど見えないのは残念。隠れて買った自販機本が実はノーカットじゃなかったときに近いガッカリ感。犯罪防止への配慮だろうが、ならいっそ60人の二塁手が活躍する映画にしてほしかった、と思うのは筆者だけ。(高) 2001.3

注目!
アンジェリーナ・ジョリー ANGELINA JOLIE

実はあんまりセクシー系じゃないんじゃないか?
『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を獲得。父親はアカデミー主演男優賞受賞のジョン・ボイト。20歳年上のビリー・ボブ・ソーントン(結婚歴計5回)と結婚したり、ナイフを集めたり、入れ墨を入れたりと話題にはこと欠かない。セクシー&ゴージャスなイメージが強いが、ブロンドじゃない髪のときはそれほどでもないはず、と見切らせていただいた。

▲自由自在に盗んでいくのを見ていると、カギを車内に忘れてJAFを呼ぶのがバカらしくなっちゃいます。
▲無能な警察は映画の立役者。
▲橋間ジャンプが最高の見せ場。
▲犬がカギを食っちゃったり。
▲世界の名車がドバドバ登場。


旅行業者必見!全く新しい観光ツアーの提案がここに!

タイム・シーカー THRILL SEEKERS

●発売元/アップセット●94分●4月6日発売●税抜16000円●出演/キャスパー・ヴァン・ディーン、キャサリン・ベル他

 ヒンデンブルグ号の爆発、タイタニックの沈没…。過去に起きた有名災害の現場へタイムマシンでトリップ! 日本旅行もHISも思いつけない刺激的な災害観光ツアーを催行しているのは、70年後の世界で旅行業を営むスリル・シーカーズ社。時間旅行の基本的矛盾や被害者への人道的配慮やツアー客の安全性といった重大懸案をクリアできれば、ここは優良企業になれたはず。でもそれらをほったらかして営業してたのと、一人の観光客が不注意にいろんな災害写真に撮られてたのと、主人公がそれを目ざとく発見しちゃったのとで、映画の出来と同じく残念な結果になりました。映画も会社も設定や企画の面白さだけじゃダメだってことを体現した恰好。とはいえ、写真に写る男の絵に描いたような怪しさといい、ヒロインの豊満なバストといい、「マトリックス」のキャリー=アン・モスに憧れた感じの社員といい、実は結構応援したい気持ち!(高) 2001.3

▲ドラえもんのタイムマシンは許せるが…。


合意と強引の狭間で弄ばれるポンチくん

ボディ・ショット BODY SHOTS

●発売元/日本ヘラルド●106分●発売中●税抜16000円、DVD4700円●監督/マイケル・クリストファー●出演/アマンダ・ピート、タラ・リード他

 ポンチくんほど毀誉褒貶が激しい存在はない。合意があれば、女をスキモノにする正義の味方。ヒィヒィ喜ばれて「もっと」とせがまれることも多い。でも、合意がなければ、女をキズモノにする非道な犯罪者。恨みを買って悪魔呼ばわりされる。いずれにせよオレとしては、たかだか10数cmの距離を往復してたかだか3〜4ccの白濁液を出してるだけなのに、切ないなぁ…。女の気まぐれに翻弄されて嘆くそんなポンチくんたちの哀愁が伝わる映画だ。
 L.A.のクラブに集まった8人の男女が、欲望を胸に4組のカップルとなり、酒で頭を濁らせながら散って行く。やがて一組のカップルが事件を引き起こす。「無理矢理レイプされたのよキーッ!」とわめく女(タラ・リード)と、「強姦じゃない。っていうか、女の方が誘ってきたんだってば!」と譲らない
男(ジェリー・オコネル)。二人の主張が全く食い違い、真偽の判定は裁判に持ち込まれるが、どちらもへべれけ状態で記憶が曖昧だったため、裁判は泥沼化。残りの男女の仲も気まずくなってしまって…。
 事実は一つなのに、立場によって全く違ったものになってしまうという人間社会の危うさみたいなものは、恐らくこの映画のテーマの一つだとは思うが、ピンとこない。それは、女の方に非があるのが明らかだから。訴えられた男はいい迷惑。だってね、この男はクラブで相手の女のためにケンカで血だらけで戦ってるんです。女は本来の恋人がその場にいるっていうのに、堂々と男のタクシーに乗り込んでるです。そんなの、ポンチくんとしては「今日はオレ、正義の味方だもんね」ってがんばっちゃうよな、普通。それに、どう見ても女たちの格好はフェラチオ対応のカモンカモンモードだし。
 フェラチオ学校で女たちが張形をいとおしむ練習をする場面や、合間合間にSEXに関する登場人物のコメントが差し挟まれるのは違和感があっておもしろいが、他に特筆事項はない。っていうか、愛って何? ポンチくんの運命を左右するだけのもの? (高) 2001.4

注目!
タラ・リード TARA REID

えーと、カリアゲ幼児じゃない方のタラちゃん…

「ルール」「アメリカン・パイ」、本作と、特にセクシーでないのに性に関する役が多いのは、初期の中山美穂を思わせる。かといってミポリンに似てはいない。老けてはいないが、表情は老女っぽい。



デミ・ムーアと勝負できる日本人男性っているのかなぁ

薔薇の眠り
PASSION OF MIND

●発売元/大映●105分●発売中●税抜16000円、DVD4700円●監督/アラン・ベルリネール

 個人的には「出たな、怪物!」という感じ。「G.I.ジェーン」以来の主演作は、デミ・ムーア以外に成人女性が登場しない、デミ様のデミ様によるデミ様のための映画。なぜか眠りにつく毎に、プロヴァンスの田舎で子供と暮らす寡婦と、NYで働く独身キャリアウーマンとに入れ替わるという、少しおもしろそうな設定。二つの世界でそれぞれ恋人ができて、しだいにどちらが夢でどちらが現実かわからなくなり、煩悶しつつもついに一方の世界を選択するという話のようだが、作品を観賞する自分と、うとうと居眠りをする自分がいて、しだいにどちらが夢でどちらが現実なのかわからなくなり、煩悶しつつもついに熟睡の世界を選択してしまった者には、なんのことやらわからず。どの場面でも自信たっぷりのデミ様を眺めただけで腹いっぱいで、もう一度見返してわかろうという気持ちになれず。観賞者の側も夢と現実の境を行き来できる一本だ。(高) 2001.4

▲話として収まりがついてない気が…。



人クローン映画はアクションヒーローに引導を渡すか?

シックス・デイ THE 6TH DAY

●発売元/パイオニアLDC●123分●6月22日発売●カラー●税抜16000円、DVD2980円

 シュワルツェネッガーって、もうアクションはやめた方がよくないすか。顔から精気が蒸発済みっていうか、皮膚に水を垂らしても弾かないっていうか、顔がクリント・イーストウッド翁に似てきたっていうか、ノネナールを大量に分泌していそうっていうか、見ていて少々痛々しい。動きの点でも以前に比べてよちよち感が格段に高まっていると思う。ただでさえそうなのに、人間のクローン技術が進んだ近未来を描いたこの映画では、そんなシュワちゃんが二人も出てきてパワー全開のアクションを披露するから痛々しさも二倍。全盛期には粋に映っただろう「I'll be back」の名台詞サービスも今では切ない。「老い」があるからこそ「若さ」があり、「死」があるからこそ「生」がある。天地創造6日目に作られた人間がクローン技術で永遠の命を得ようとする愚かさは、老いてなおアクションヒーローの座にしがみつく俳優にもあてはまる(うわ、イヤミ)。(高) 2001.5

▲クローン羊のドリーは死にました。
▲ホログラムのダッチワイフは垂涎。



脚本も企画も見どころもない、いい悪いで言えば悪い映画

BAD MOVIE  
TIMELESS BOTTOMLESS BAD MOVIE

●発売元/ゼアリズ●116分●6月25日発売●DVD税抜4800円●カラー●監督/チャン・ソヌ

 韓国映画界の異端児と言われる監督が撮った、本物のストリートキッズとホームレスが繰り広げる「過激な青春スキャンダル・ムービー」。「型にはまった脚本、音楽、撮影、企画など何もなし」というアオリ文句に嘘偽りはなく、企画どころか面白みも驚きもため息も勃起も何もなし。「鳥頭」「血便男」「イモ」「ウンコ」と小学生レベルで統一された登場人物のニックネームを見ればその空疎さは推して知るべし。そういう意味では、タイトルづけは実に理に適っている。バイクに乗せてもらえるならセックスも辞さない少女、ラジカセのためにはフェラチオも辞さない少女などなど、ソウルの現実をリアルに切り取ったことは確かだろうが、「切り取られても…別に…」というのが実感。韓国映画の躍進ぶりに嫉妬心を禁じ得ない日本映画関係者が、韓国にもこんなしょぼい映画があるんだなぁと実感して慰められたい場合に限ってはうってつけの一編だ。(高) 2001.5

▲フェラ場面の消しは黒い長方形!
▲70年代の日本っぽいアナクロな質感。


息子から息子の勃起を執拗に迫られる倒錯ファンタジー?

 パリの確率
PEUT-ETRE

●発売元/ポニーキャニオン●109分●税抜16000円、DVD4700円●発売中●カラー

 主人公は、恋人から結婚&子作りをせがまれているが、まだ荷が重い、と頑なに中出しを拒む青年。こいつが偶然トイレの天井を抜けると、そこは砂に埋もれた2070年のパリ。車の後ろ半分をロバに引かせたタクシーやロバの背中にバックミラーをつけたバイクが行き交う未来世界で、老成した自分の息子に出会い、「中出ししてくれないと俺が生まれない!」と責められるSFXファンタジーです。己の息子から股間の息子が執拗に勃起&射精を迫られるという意味では倒錯したSEXファンタジーとも言えます。
 考えてみれば、息子が存在してるってことはちゃんと中に出したってことで、青年が責められる筋合いはないはずですが、それはそれ。ポリンキーにも引用された名優、J=P・ベルモンド扮する息子と、風貌的には「フランスのブラピ」と言えなくもない若手俳優、R・デュリス扮する父親との、実年齢と逆の妙な親子関係を興味本位で眺めたいところ。息子が実力行使で父の息子を母に挿入すれば話的にもビジュアル的にも効果的だったのになぁ…と嘆くのも可。
 人間って精子から生まれるんだよなぁ。そんなごくあたりまえの事実を改めて実感してしみじみしたいおフランスじかけの佳作である確率は高いです。(高) 2001.6



池田湖はイッシー、便利なのはアッシー、中島はキャッシー…

ロック・ネス
BENEATH LOCH NESS

●発売元/アット・エンタテインメント●95分●7月6日発売●税抜16000円、DVD4800円●カラー

 ロック・ネスとはネス湖のこと。当然、ネッシーのお話です。絶滅したはずの古代生物の生き残りが人間を襲い、調査団して訪れたインディ・ジョーンズ系の米国人ヒーローが、仲間の死や地元民との確執やその他を乗り越えてやっつける、のどかな怪獣パニック小編。海中なのに水の存在を微塵も感じさせない特殊な撮影技術が序盤から際だっているため、見どころは自ずと絞られます。一つは間投詞「shit!」(クソッ!)の多用。ネイティブ・スピーカーたちがここぞとばかりに連発するので、「sit」(座る)との発音の違いを確認したい英語学習者に好適です。もう一つは、ヒーローの元妻で今はテレビ局勤務のエリザベスさんの佇まい。なんか気になるな、この人。勿論悪い意味で。売れない小劇団の女優みたいに、常に過剰な表情と仕草をするのが芝居と信じているので、米国人の典型的仕草を確認したいジェスチャー研究者に好適です。(高) 2001.6

▲ネッシーは熱死した可能性が大…。



大ヒットした前作に比べると女優の顔品質は向上したが…

 ブレアウィッチ 2
BOOK OF SHADOWS BLAIR WITCH 2

●発売元/CIC●90分●税抜16000円、DVD4700円●8月8日発売●監督/ジョー・バリンジャー

 格安の予算にも関わらずネットを駆使してヒットした前作の続編。映画により魔女伝説の地元は一躍観光地化。森の探索ツアーに出かけた男女5人が、呪いのせいと思える凄惨な事件に遭遇し…という話。
 ハンディカメラの多用をやめたために鑑賞者が車酔い状態にならなくてすむ、思わせぶりな謎の提示ばかりするのをやめたために随分わかりやすい話になった、ブスしか出なかった前作と違って女優陣がまずまずの品質になったなど、前作の悪い点を逐一改良した努力は認めたい。が、反面それは、前作がつまらないなりに持っていた得体の知れないパワーを根こそぎ排除する要因ともなった。「文」みたいな形状の「スティックマン」を越えるアイコンもないし、鼻汁たらして目をひんむいたブスを下から撮った看板ビジュアルもないし、ネット仕掛けの妙も伝わってこない。正真正銘の続編とは到底思えない出来映えだ。
 結局、前作がうやむやにした事件の謎解きとしては、精神的極限状態にある人間が生み出す集団幻想&集団ヒステリーが、恐怖の殺人を引き起こした、ということになりそう。拍子抜けな展開の割に「ブレアウィッチ3」の製作が既に決定済み。ここからどう引っ張ることができるか、という新たな謎が残された。(高) 2001.7


サッカーファンなら観ろ!そしてチケットを諦めろ!

ザ・カップ〜夢のアンテナ〜
PHORPA

●発売/キングレコード●93分●9月5日発売●税抜16000円、DVD4700円●監督/ケンツェ・ノルブ

 アクエリアスとバドワイザーを痛飲し、ジレット剃刀でヒゲを剃り、新聞を朝日に、車の保険を東京海上に変更し、フジフイルムで現像し、小額でも逐一マスターカードで購入…。W杯チケット国内一次販売の抽選に外れ、企業の思う壺と思いながらもチケットプレゼントのためにせっせと消費活動に勤しむサッカーファンにぜひ観てほしい一本です。
 舞台はヒマラヤ山麓のブータン王国(7月18日付FIFAランキング202位/203チーム中)。チベット仏教の僧院で修行中のサッカー好き少年僧が、'98フランスW杯決勝の衛星放送見たさに奔走するんです。僧院にはTVがないので、僧院長を説得し、仲間から金を集め、ぼろいアンテナ&受像機を村のインド商人から借りてきて。見事に観戦するんだけど、少年は途中でそのために犠牲にしたものの大切さに気づいちゃうのです。それは友情であり親子の情であり…。クサイでしょ。でもいいんです! サッカーファンならずとも、ピュアな気持ちが爽やかに呼び覚まされること確実。もう、W杯はTVで観られればいいやって気分になる可能性さえあり。なるべく多くの同志諸君がこれを観てピュアな気持ちに陥り、懸賞応募の無意味さに気づくことを祈ります。そうなれば俺の当選確率が上がるから。(高) 2001.8


「ここ、おもしろいでしょ!」と大声で主張されてる感じ

PARTY7
PARTY7

●発売元/タキコーポレーション●104分●発売中●税抜16000円、DVD4800円●カラー●監督・脚本/石井克人●出演/永瀬正敏、浅野忠信、我修院達也他

 「和製パルプフィクション」などと絶賛された『鮫肌男と桃尻女』で日本映画に新しい方向性を示したとされる石井監督の長編第2作は、「かなりシュールな超ハイ・スピード・スクリューボールコメディ」(公式サイトより)。
 郊外の妙なホテルに癖の強い人物7人が集まって、日本離れしたタッチのアニメ挿入や登場人物ごとの色を反映したホテルの内装などで構成された所謂スタイリッシュな映像とともに、くんずほぐれつのドタバタ喜劇を展開です。といっても、動きのおもしろさなどではなく、会話の妙で勝負。緩急を押さえたオフビートな笑いのツボ満載ってことですが、「オフビートって何?」というレベルの筆者は、粋がるヤクザのスーツのタグに「ジョルジオ・アルマーネ(本物)」と縫い込まれているシーン以外は、笑いまで至れず。
 狙いすぎというか、「ここ、おもしろいでしょ!」と大声で主張されている感じで、置いていかれる気分。クールなクリエイターさんや素敵な俳優さん連中が「おれたちわかっててやってんのよ」と断りを入れている感じ。英語の映画を字幕なしで理解できるもんだからいちいちギャグの度に必要以上の大声で笑う人なら、笑えるんじゃないすか。ま、ひがんでるだけですけど。
 とはいえ、個々のキャラ設定は充実です。組の金を盗んだ下っ端ヤクザの永瀬正敏は割と普通で目立たないけど、ノゾキ常習犯の浅野忠信は長い前髪を存分に垂らして登山で髪が乱れたときの皇太子殿下テイスト抜群だし、蓄膿ヤクザの堀部圭亮は無精ヒゲだけジャン・レノだし、インチキ金持ちの岡田義徳は髪型がいとうせいこうだし、悩殺ルックの小林明美は個人的に腹だけで射精可能なほどだし、若頭の我修院達也は怪優の名をほしいままにしてるし、ノゾキ生活30年の原田芳雄は黄色い流線型ヘルメットをかぶった「キャプテンバナナ」だし、この7人以外にも、洋八に松金よね子に岡本信人ですから。参加者は楽しがってるけどノゾいてる方は別に楽しいわけじゃない感じの乱交パーティーですな。(高) 2001.7

▲キャプテンのメットほしい!
▲アルマーネのスーツほしい!
▲「ホテルニューメキシコ」を舞台に、金を持ち逃げしたヤクザやノゾキ趣味の男らが繰り広げる珍騒動。
▲未熟な演技を補って余りある腹の美しさが光った小林明美と岡田義徳はアスパラドリンクCMでも共演。

注目!
浅野忠信 TADANOBU ASANO

「パンツの穴」や「ウルトラマンティガ」にも出演済
デビュー作「3年B組金八先生PART3」では、萩原聖人や森且行(元SMAP)と同期。今作では、「MR DOG」という犬のイラスト付きベストを股上の深いズボンに入れて着こなす色白なノゾキ常習犯役で、従来のラフで無精なパブリック・イメージを一新。中田英寿とともに、日本の若年男子陣にコントロールされた無精ヒゲを根付かせた張本人だと思われ。



不仲なお笑いコンビも必見、狂気のスパニッシュ愛憎劇

どつかれてアンダルシア(仮)
MUERTOS DE RISA

●発売元/アミューズ●107分●税抜16000円、DVD4800円●発売中●出演/サンティアゴ・セグラ

 内戦下のスペインに人気どつき漫才コンビがいた。どつき役のヤセとどつかれ役のデブ。表向きは名コンビの二人だが、プライベートの仲は最悪。互いにいがみ合う関係はエスカレートし、ついに悲劇が…。芸能界内幕もののコメディだが、自分にないものを持つ相棒への嫉妬ぶりが異常で、コメディであることを忘れるほど陰惨な展開。それは観る者を引き込む要因でもあるが、少し救われた気持ちになるラストがなければ、観てる方は愛憎の激しさに気圧されて「ド疲れてアンダルシア」(ドは程度の副詞)になっていたこと必至。浪速の伝統芸能と思われたどつき漫才がスペインにもあったのも発見だが、何よりの発見はどつかれ役のデブの顔の肉質。激しい平手打ちを受けた際の肉のリバウンドが実にエクセレントだ。ゴムとグミとはんぺんのよさを兼ね備えた画期的新素材登場の予感。邦題の(仮)と相殺してなお余りある魅力を発しているのだ。(高)  2001.8

▲一度観たら忘れられないね、この顔。
▲監督は「エイリアン3」を断った人。



囚人を救い被害者を救わないのがガーデニング?

グリーンフィンガーズ
GREEN FINGERS

●発売元/メディアファクトリー●000分●DVD税抜3800円●10月5日発売●カラー●出演/クライブ・オーウェン、ヘレン・ミレン他

 舞台は英国の刑務所。無骨な男性囚人が、更正後のために庭作りを命じられたのを契機に、庭師の才能を発揮し、ガーデニングの由緒ある品評会に出場する話。命を奪う罪を犯した人間が、ガーデニングによって命を育てることの意味を知るまでを描いた話。まあ、一般市民が好みがちな、実話ベースの「ちょっといい話」系美談映画で、昔「一杯のかけそば」にグッときたような人にはお勧め。一般的な見どころとしては、無骨な男と可憐な花との対比、本場・英国の美しいガーデニング作品、囚人たちの友情、偏見に負けずに貫かれる愛といったものが挙げられよう。
 だが、筆者には腑に落ちない。この刑務所というのが、塀も鉄格子も鉄条網も監視カメラもない、保安体制のゆるい開放的な施設。喫茶も喫煙も自由、外出も自由、クリスマスパーティーのダンスタイムに女に腰を寄せて「勃ってるわ。規則違反よ」と言わせられるし、近くの森で屋外セックスもできる。って、おいおい。囚人がこんなに楽しく朗らかな生活を送っていいのかよ。その辺のライターよりずっと満ち足りた生活をしやがって。虚構内の出来事とはいえ、まったく気に入らない。囚人に対する世間の偏見というものが映画のバックボーンになっているが、「一所懸命やってるのにみんな人殺しだからって偏見で見る」なんて訴えは認めたくない。だからこの映画も認めたくない。筆者は一生、殺人犯とこの映画への偏見を持って生きていく所存。(高)  2001.9


江戸時代に撮ったような古さ!

女形気三郎 さても女の一大事
ONNAGATA KISABURO

●発売/SHV●90分●発売中●税抜8500円●監督/石原興●原作/ジョージ秋山●出演/松井誠、三浦浩一、矢部美穂他

 松井誠、きてます。「大衆演劇界の新しいプリンス」「生きる博多人形」「長谷川一夫丈の再来」などと呼ばれるだけあって、かなりステキ。なんてったって、顔が古い! その古さはあの田村正和や原田大二郎をもしのぐ勢い。いちいち顔の造作が大きく、ばちっとした目はまるで浮世絵に描かれたかのよう。性器感たっぷりの長鼻はまるでとってつけたかのよう。とてもいまどきの現代人とは思えないこと必至。そんな、時代劇をやるために生まれたような男が、ジョージ秋山の人気時代劇マンガの主人公を演じます。女に代わって女の敵を女の姿で懲らしめる正義のヒーロー。ハマってます。昼は髪結いを営む男が、女を苦しめる巨悪に遭遇すると、女形に変身して一刀両断に事件を解決! ごくごく類型的な悪と正義の二元論が美しすぎて、「よく妖艶とか言われるけど、女形ってどうなの?」という美への個人的な疑念を差し挟む余地なし。役者的にも物語的にも、30年前、いや、江戸時代に撮ったと言われても信じそうな古さを醸し出す痛快娯楽時代劇。文句なし!(高) 2001.9


地球滅亡の危機を救ったのは冴えない中年男女の駄キッス

オデッセイ2001
EPOCH

●発売元/プライムウェーブ●100分●税抜12000円●発売中●監督/マット・コッド

 ブータンの地中から謎の巨大物体が出現。40億年前から地球生命の進化を司ってきたらしいこの物体が二酸化炭素の雲を大量発生させ、世界は滅亡の危機に。焦った米軍は物体に核爆弾をセット。ごう慢なアメリカ人男性を地でいく主人公と、一部造形の違うサンドラ・ブロックといった風貌のヒロインが爆発を止めようとするが、爆弾解除は不可能。もはや爆発という極限状況の中、やけくそ気味の二人が取った行動は、熱い接吻! すると、次の瞬間、何事もなかったように、巨大物体は宇宙の彼方にワープし、一件落着。まぁ、人間の愛の力を見て巨大物体が感激し、地球破壊を思いとどまったってことでしょうが、地球の歴史を全て見てきた物体なら、もっと感動的な愛の姿も見ているはずで、だったら最初から意地悪しなきゃいいと思うんですが…。しかも後日、ヒロインの妊娠が発覚。キスだけではらませるとはさすがコーマンなアメリカ人!(高)  2001.10

▲奇跡の平衡感覚を発揮する巨大物体。
▲米国映画らしく中国の描き方は劣悪。


つい魔が差したのか、ウィノナ・ライダー

ロスト・ソウルズ
LOST SOULS

●発売/パイオニアLDC●98分●発売中●税抜16000円、DVD3800円●監督/ヤヌス・カミンスキー●製作/メグ・ライアン●出演/ウィノナ・ライダー、ベン・チャップリン、ジョン・ハート、サラ・ウィンタースほか

 悪魔払いでエクソシズムでオカルトホラーと。この時点で個人的にはほとんど観る気なし。潔くB級オカルト路線に走ってくれればもう少しマシなのに、監督が高尚な文芸テイストへの憧憬を捨てきれなかった印象です。
 主人公のマヤ(ウィノナ)は神父の悪魔払いを手伝う助手。ある殺人犯に取り憑いていた悪魔がピーターという無宗教者に乗り移ると突き止めたマヤ。だが教会は取り合わず、本人も信じない。次々起こる超自然現象。そして明らかになるピーター生い立ちの謎。33歳の誕生日に魂が消え、悪魔が体に入るらしいが、果たして二人の運命は?
 と、前向きにあらすじを書いてみたものの、悪魔の復活とか神と悪魔の戦いとか信仰を持つ持たないの葛藤とかは、やはりキリスト教圏の人でないとついていけない世界でしょう。まあ、アメリカ公開時ももっぱら不評だったようですが…。いわんや日本をや。
 気になるのは悪魔のバカさ。わざわざ時計の数字を666にする幼稚な行動のせいで千年紀単位の復活計画は結局水泡に。そんな軽率さでは何千年たっても神の領域には踏み込めませんぜ。
 「エクソシスト」で事足りてると思えるテーマをなぜまた、というのも謎だが、最大の謎はウィノナがなぜ出演を承諾したか。もう31歳だし芸域を広げとこうかなと思っていた矢先、今作が初プロデュースのメグ・ライアンに頼まれてつい冷静な魂を失った、と考えるのが超・自然です。(高) 2001.10

▲ベン・チャップリンは宮沢ミッシェルとラウールを足した風貌。
▲ウィノナの風貌はシザーハンズの頃とほとんど変わってない!
▲全編を通じて笑顔はゼロ。
▲宗教って何? いざこざの源?
▲魂は失いたくないものです。



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