久々にスカッとさわやかな名作に出会った。森永コーラゼリー。名前を聞いた限りでは何のひっかかりも面白さもかわいげもない至って普通の商品だ。コーラ味をゼリーに導入したことしか伝わらない凡ネームである。

 しかし、実物を目にすれば誰もが「こりゃまいった」、転じて「こぉりゃぁまいった」、転じて「こぁらぁまいった」、転じて「コアラまいった」と思うに違いない。コアラである。フタに素朴なコアラ絵がついているのである。説明はない。帽子などが異なる4頭のコアラが缶、瓶、コップと形態の違うコーラを抱えている絵がなんとなくちらばっている。それだけ。

 コーラとコアラ。「コーラゼリーねぇ……ああ、ダジャレでコアラの絵でも入れとけば」「ク〜ッ、ニクいよこのアイディア部長!」。そんなテキトー感ゆえの鈍いきらめきを放つ一工夫がマーケティング全盛の現代に一輪のあだ花を咲かせたのか。もしかしたら「コアラの好物はユーカリの葉でなくコーラだ」という新発見があり、それをいち早く活かそうとした起用なのかもしれないが、その場合はやはり「こりゃまいった」、転じて「コアラまいった」と言うほかない。(この項おわり)




次の回へ進む inserted by FC2 system